共有不動産の一部を売却する方法

不動産登記

こんにちは。司法書士の甲斐です。

相続が発生し、遺産の中に不動産(土地)があります。今後この土地の一部の売却を考えていますが、取り敢えず相続人全員の共有名義の登記をしました。この場合、今後どのような手続きを行えば良いですか?

相続のご相談では、上記のようなお話も良く出てきます。

相続した土地が、相続人が使用するには広すぎるので、一部を売却し、残りを相続人の単有名義にしたいとのご相談です。

ただ、そのお話をお伺いをしていると、「単純に土地を分割すればそれぞれの土地が単有名義になり売却できる」と誤解をされている方が少なくありません。

今回はその誤解を解く、共有名義不動産の一部の売却のお話です。

1.土地を分ける、「分筆登記」

一つの土地を二つ以上に分ける場合、「分筆」と言う登記を行います。

「分筆」とは、登記簿上で土地を分ける事です。

例えば、Aと言う土地を2つの土地に分筆した場合、A1とA2と言う2つの土地が登記簿上誕生し、A1とA2の土地は別の土地となります。

ここからが、非常に誤解されている話になります。

土地Aの所有者が太郎、花子の共有名義であった場合、太郎の自分の土地を全部売却、花子は自分の土地を一部売却、残りを自分のものにしたいと思っています。

その目的の為に、Aの土地を分筆し、A1、A2の2つの土地を作れば、A1の土地は太郎名義、A2の土地は花子名義になるので太郎の土地A1はそのまま売却、花子の土地A2は一部売却できるんですよね?とご相談を受ける事があります。

しかし、実はこのままでは、目的に沿った売却はできません。なぜなら、分筆をしただけでは、名義はA1、A2の土地両方とも、共有名義のままだからです。

2.権利の移転は、「所有権移転登記」

分筆登記をしただけでは、単に一つの土地を複数に分けただけですので、その所有者は今まで通り、共有名義のままです。

これを単有名義にしたいのであれば、それぞれの土地について、所有権移転登記(持分全部移転登記)を行う必要があります。

つまり、A1の土地に関して、太郎・花子から花子の持分の全部移転登記を行い太郎名義に、A2の土地に関して、太郎・花子から太郎の持分の全部移転登記を行い花子名義にする事で、初めてそれぞれの土地を単有名義とする事ができるのです。

3.共有名義の土地の一部を売却する方法

以上の事を前提に、例題の、太郎・花子の共有名義のA土地の一部を売却する場合の一番簡単な方法は、

① A土地を売却する部分(A1)と売却しない部分(A2)の土地に分筆する。
② 売却するA1の土地を、共有名義のままで売却する。
③ 売却しない土地を花子単有名義にする為に、太郎持分全部移転登記を行う。

以上の①~③の手順で、当初の目的を達成する事ができます。

4.まとめ

今回は若干複雑な内容となりましたが、分筆登記を行っただけでは、共有名義のまま、所有権移転登記(持分全部移転登記)を行う事で、初めて単有名義にする事ができると言う事だけご理解頂ければ、と思います。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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