相続トラブルの原因。遺産分割協議書は良く理解して押印しましょう


こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

今回の記事は、遺産分割協議書についてご相談されたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

『印鑑は簡単に押してはいけない』
私が子供の頃、両親から散々言われてきた言葉です。

簡単に印鑑を押してしまい、他人の連帯保証人になってしまい、債権者から想像を絶する取り立てにあい、一家がバラバラになってしまった、なんて具体例を持ち出されながら、良く話をされました。

実は、相続においても印鑑(実印)を押す場面が出てきます。

そう、「遺産分割協議書」ですね。

本日は、良くある相続トラブルとしまして、良く分からないまま印鑑を押してしまった事例を、注意喚起の意味も込めてご紹介したいと思います。

 

1.事例紹介

晴彦さんは六人兄弟の末っ子です。

数か月前に父を亡くし、相続人である兄弟間で遺産分割協議を行うとした所、一番気性が荒い四男が、一方的に相続関係を取り仕切るようになりました。

「自分は父親の介護を最後までしていたのだから、父親の財産はすべて貰う権利はある」と言い出し、遺産分割協議書を兄弟に相談なく勝手に作りました。

その内容は、ほとんどの財産を四男が相続し、その他の雀の涙的な財産を他の相続人が相続する、と言った不公平極まりない内容です。

通常の人間であれば、この様に不公平な内容の遺産分割協議書には押印なんてしません。

しかし、この四男は他の兄弟たちに詳しい説明は一切行わず、執拗に押印する様に迫るようになりました。

時には脅迫めいた言動を用いて、他の兄弟達を精神的に追い込み、ついに兄弟達は、不公平な遺産分割協議書に署名し、実印で押印してしまいました。

 

2.事例解説

実際には遺産分割した事実はないにも関わらず、四男の執拗までの対応に、他の相続人はウンザリしてしまい、協議書に署名押印してしまった事例です。

四男以外の兄弟は「後で何とかなる」と思い。四男の言うとおりにしてしまいました。

兄弟の中の一人が絶対的な権力を持っており、兄弟間に発生した問題を強引に取り決めてしまう・・・これは良くあるケースだと思います。

特に相続になりますと、遺産が絡みますのでそれこそ自分ができるだけ得をしようと必死になります。

では今回のケース、明らかに遺産分割協議は無効ですので、そのやり直しを主張する事ができるのでしょうか?

他の兄弟達はどうやら、四男がうるさいので、取り敢えず署名・押印してその後に対応を考えようとしていたみたいですが、遺産分割協議のやり直しを請求できるのでしょうか?

答えは、「ほぼ不可能」と思われます。

遺産分割協議に署名・押印がされている場合、きちんと協議があったものと強く推定されます。

これを覆すには、何も説明がなく、無理矢理に、強引に署名・押印された事の客観的な証拠が必要になりますが、その様な証拠を揃える事は、不可能に近いでしょう。

(脅迫された時の会話を録音していれば話は別ですが)その為、遺産分割協議のやり直しを請求する事はほぼ不可能です。

 

3.まとめ

相続関係を全部取り仕切っているからと言われても、内容が良く分からない遺産分割協議書に署名・押印する事は絶対にやめましょう。

後日、協議のやり直しを請求する事は非常に困難になります。

どんなに署名・押印する事を迫られても、毅然とした姿勢で拒否し、遺産分割協議書の内容をじっくりと精査し、不明点はきちんと質問をするようにして下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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