遺産分割協議の無効を争う事が難しい理由を分かりやすく解説します

「過去(何十年も前)に行った遺産分割協議の無効を主張したい!!」と思われている方が実は多いのをご存知でしょうか?

特に市役所での無料相談を行った場合に、高確率でこのようなご相談(裁判をしたい!)を承る事があります。

相談者の方がその無効を主張したい事情は様々なのですが、共通しているのは「納得出来ないので無効を主張したい」と言う点です。

しかし、遺産分割協議の無効を争う事はよほどの事が無い限り、非常に難しい事が現実です。

今回は「遺産分割協議の無効を争う事の難しさ」をお話していきたいと思います。

後から無効を主張しなくても良いような遺産分割協議を行う為の参考としてみて下さい。

1.遺産分割協議が無効になる場合

遺産分割協議の無効はどのような理由でも認められるわけではなく、それには法律上の理由が必要になります。

以下にその代表的な理由を挙げてみたいと思います。

① 相続人全員で遺産分割協議をしていない場合

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一部の相続人を除いて行った協議は無効となります。

ご家庭の事情によっては一部の相続人(前妻との子供、連絡を無視している相続人、浪費家の相続人等)を除いて遺産分割協議を行いたいと思われている方もいらっしゃるかも知れませんが、それは絶対的に無効となりますのでご注意下さい。

② 認知症等で意思能力がない相続人がいた場合

遺産分割協議は法律上の権利や義務を発生させる法律行為ですので、法律行為を行う為に必要な意思能力が必要になります。

その為、相続人の中に認知症の方がいて、意思能力が無く遺産分割協議の意味を理解出来ない場合は、その遺産分割協議は無効になります。

なお、この場合は、成年後見制度を利用する事で有効な遺産分割協議を行う事が出来ます。

③ 未成年者が単独で遺産分割協議を行った場合

未成年者が有効な遺産分割協議を行う為には、両親等の法定相続人や、裁判所から選任された特別代理人の関与が必要になります。

その為、未成年者が単独で行った遺産分割協議は無効になります。

④ 勝手に実印を押された場合

そもそも遺産分割協議に関与しておらず、遺産分割協議書に実印を勝手に押された場合は、その遺産分割協議は無効になります。

(ただし、後述しますが、その無効を裁判上で認めてもらうのは非常に難しいでしょう。)

⑤ 詐欺や強迫をされて遺産分割協議書に実印を押した場合

「あなたには最低相続分である遺留分はない」等と言われ騙されたり、強迫されて遺産分割協議書に実印を押した場合が該当します。

※正確には無効ではなく、一度有効に成立した遺産分割協議を「取り消す」事になります。

2.遺産分割協議が無効とならない場合

① 遺留分を侵害された場合

遺産分割協議には納得して遺産分割協議書に実印を押したけれど、後から遺留分を侵害されていた事が分かったケースです。

この場合は残念ながら遺産分割協議は無効とはなりません。遺産分割協議の内容に納得している以上、有効に成立していると考えられます。

なお、遺留分侵害額請求権も行う事が出来ません。

遺産分割協議には「遺留分は侵害されているけれど、その権利は放棄します」と言った趣旨のようなものが含まれているからです。

② 単純に納得出来ない場合

遺産分割協議書に実印を押したけれど、後になって考えるとその分け方に納得出来ない、というケースです。

上記の遺産分割協議が無効になるケースに該当せず、単純に遺産の分け方そのものに納得しない場合に、遺産分割協議が無効となるかと言う事ですが、この場合も無効になりません。

遺産分割協議の段階では自分の意志でその分け方に納得をしていますので、それを後になって覆す事は出来ません。

3.遺産分割協議書の無効を争う場合の証拠について

遺産分割協議が無効となる理由があった場合、相続人全員と再度遺産分割協議を行う必要があるのですが、他の相続人がそれに応じない場合、裁判によって遺産分割協議の無効を主張する事になります。

しかし裁判で遺産分割協議の無効を主張する為には証拠が必要となりますが、その証拠を用意する事について問題が出てきます。

例えば、一部の相続人を除外してされた遺産分割協議について、その証拠として考えられるのは戸籍謄本等です。

この場合であれば証拠もありますので十分に無効を争う余地はあると思います。

しかし、実印を勝手に持ち出されて使用されたケースであればどうでしょうか?詐欺・強迫にあったのであればどうでしょうか?

詐欺や強迫等であれば、その時の音声を録音していれば客観的な証拠として使用出来るかもしれませんが、そうではない場合、遺産分割協議の無効を争う相続人の証言等が主な証拠となるでしょう。

しかしそれはどうしても客観的とは言いがたい為、結局のところ、遺産分割協議の無効を主張するのに大変な困難を伴う事になります。

つまり、客観的な証拠を用意する難しさ、この点が裁判で遺産分割協議の無効を争う事が難しい大きな理由なのです。

4.まとめ

このように、後から遺産分割協議の無効を争う事は、特別な事情がない限りほぼ不可能となります。

その為、ご自分がしっかりと納得できるように、他の相続人とは十分に話し合うようにして、後からもめないような遺産分割協議を行うようにして下さい。

なお、当事務所では相続人の方全員が円滑な遺産分割協議が出来るよう、遺産分割協議のサポートを行っております。

遺産分割協議の事でお困り、お悩みの場合はお気軽にお問い合わせ下さい。

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この記事の執筆者

横浜市泉区の司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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