その分け方は不公平?相続における兄弟姉妹間のトラブル回避のポイント

相続対策・認知症対策

【事例】
Q:私には今年80歳になる父がいます。

父は最近体調を崩しがちになり、病院に入退院を繰り返しています。

その為、父の相続の事について真剣に考えなくてはいけない時になっているのですが、どのように話しを進めていけば良いのかが分からずに困っています。

母は既に他界しており、父の相続人となる者は、私を含めた父の子どもである4人の兄弟姉妹です。

「相続は予想もしない事から相続人間でもめるので、もめない為には相続人である兄弟姉妹間の事前の話し合いが重要である」と言った記事が書かれた雑誌を良く目にするのですが、兄弟姉妹間でもめない為の話し合いの方法と言うのが具体的に良く分かりません。

A:各相続人には法定相続分が民法上定められていますが、当然ながら相続人全員の合意があれば、法定相続分とは異なる遺産分割も可能ですし、その方が実質的に公平になる事も多いです。

まずは法定相続分は気にしないで、ご家族構成、ご両親との関係性、その他一切のご家庭の事情を考慮して、相続に関する話し合いを行ってみて下さい。

1.お金が絡むと人は変わる

相続の争いはなぜ発生するのでしょうか?当然、そのご家庭における事情もあると思うのですが、一番の原因はやはり「お金」です。

相続は相続人の方に突然数百万~数千万規模(場合によっては数億規模)の財産が目の前にやってくるのです。大切なご家族の方が亡くなったと言う悲しい事実はあるのですが、とは言え普通に働いていては手に入れる事が出来ないまとまった財産を相続では取得する事が出来ます。

「より多くのお金が欲しい」と思うのは人間であればある意味当然の欲求ですので、相続人間でその欲と欲がぶつかり合い、折り合いがつかなければ遺産分割調停、審判と言った流れになるのです。

なお、裁判所が発表している資料(司法統計)によりますと、最近の件数としましては、遺産分割調停や審判で年間1万件以上の申立てがあり、さらにその約75%は、遺産総額が5,000万円以下です。

さらに、1,000万円以下の遺産額でも約30%の割合となっています。「ウチには財産なんてないから」と言っている普通のご家庭でも、十分に相続でもめる可能性があり、だからこそ事前の話し合いが重要であると言えます。

2.相続について、事前に兄弟姉妹間で話し合うポイント

① 親の財産の確認をきちんと行う

まずは親の財産の状況をきちんと確認しましょう。相続される財産がどの程度あるのかが分からない状態であれば兄弟姉妹間での話し合いも出来ません。

ある程度で構いませんので、現段階の相続財産がどれくらいあるのを調査する必要があります。

なお、「親がまだ生きている時に、親に相続の事を話すのは心苦しい」と思われるかもしれませんが、必ずいつかは通る道ですので、早めにご両親ともお話ししておいた方が良いでしょう。

なお、その具体的は方法は下記をご参照下さい。

町田・横浜相続困りごと相談室
初めまして。突然ですが、あなたに質問です。相続でもめる家庭ともめない家庭の、究極的な差って何だか分かりますか?私は主に相続手続きに関する様々な仕事を行っておりますが、その中でこの「差」を常日頃から感じています。たった一つのこの「差」、でも超

② 実質的に公平になる相続方法を話し合う

相続の場面で良く問題になるのが「法定相続分」です。

法定相続分は相続において民法が定めた各相続人の権利なのですが、この法定相続分は機械的に定められただけですので、相続人間の実質的な公平とはほど遠い規定となっています。

例えば、相続人が被相続人の長男、次男の二人で、長男はサラリーマンできちんと働いており、自分の家庭もしっかりと持って自立している。

しかし弟は働く能力があるにも関わらず何十年も働かず、実家暮らしで親のスネをかじってばかりいる。

親の財産がどんどん無くなっている状態で親が亡くなった場合、次男は散々親の財産を使ったのにも関わらず長男と次男が同じ相続分である事は、長男から見ると非常に不公平です。

その為、本当に相続人間で公平な相続とする為には、まずは全ての事情を考慮して兄弟姉妹間で話し合う事が必要になってきます。なお、この事は民法の条文にもきちんと明記されています。

(遺産の分割の基準)
第906条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

ちなみに、民法には法定相続分を修正する寄与分や特別受益と言った制度がありますが、非常に限定的な範囲の規定です。

相続人全員が納得する話し合いを行う為には、最初はやはり全ての事情を考慮すべきでしょう。

なお、遺産分割調停や審判と言った裁判所での手続きは、原則、法定相続分をベースとして話しが進みます。

③ 自宅の処分方法を事前に決めておく

相続において、一番悩ましい事はこの自宅の相続の事です。

・自宅には被相続人しか住んでおらず、今後も誰も住む予定が無いケース。
・自宅には被相続人に以外に相続人が住んでいるが、相続財産が自宅しかなく、その者が相続すると他の相続人が相続する財産が無くなるケース。

・・・等、相続における様々なケースで相続発生後に取るべき手段が変わってきます。

兄弟姉妹間で相続発生後の自宅の処分についてどうするのかを事前に話し合い、いざと言う時に備えると良いでしょう。

3.まとめ -仲が悪くなり、最悪、縁を切る事だってある-

当ブログでは何度もご説明しておりますが、もめない為の相続のポイントは、「事前に話し合う事」です。

それも「こうあるべき」等と言った法定相続分に縛られる事なく、各相続人が納得できるよう、自由な発想、雰囲気で話し合う必要があります。

きちんとお互いに話し合わないと最悪に「兄弟姉妹間の縁を切る」事にも発展する事だってあります。話し合いはしっかりと行いましょう。

相続の事を話し合う=人が死んだ後の事の話し合いですので、非常に話しづらい事もあると思います。

しかし、話し合わなければ何も解決しません。

急に思い立ったように兄弟姉妹間で話すのではなく、少しずつでも構いませんので、相続する準備を兄弟姉妹間で行うようにしましょう。

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