兄弟姉妹間の力関係も、相続でもめる原因になります

相続トラブル事例

こんにちは。司法書士の甲斐です。

最近、朝の情報番組で相続トラブルが取り上げられる事が多いですね。

「相続トラブルは資産家だけの問題ではなく、遺産が少ない一般の家庭でも十分に起こり得る事」

この事については良くTVで取り上げられ、様々な具体的事例が紹介されていますので、知っている方も多いでしょう。

ただ、取り上げられる事例は「遺産の分け方」に関する事がメインなのですが、相続でもめる原因は、「遺産の分け方」だけではないんですね。

人間関係が大きく関係してくると言いますか。

そこで今回は、父親が亡くなってその子供達が相続人になった場合で、人間関係にまつわる相続トラブルの事をお話ししたいと思います。

一言で言えば、「自分の兄弟姉妹をマウンティングしちゃダメ!」って事です。

1.そんなつもりじゃなかったのに、遺産がいくらあるかでもめる

相続直後、良く有るもめるパターンを紹介しますね。

次男
次男

兄貴さ、いい加減親父の預金いくらあったか教えてくれよ。

長男
長男

あのさ、お前親父が亡くなった直後のタイミングで良くそんな事言えるよな?優先順位がおかしくないか?お前は子供の時からいつもそうで、常識なさすぎて・・・(以下省略)。

長男から見れば、

「父親が亡くなったタイミングで、良く遺産の話なんかできるよな!しょせんは金目当てか!!」

と言う感じでしょうね。

これだけ見ると、なんて常識がない弟だと思えるでしょうし、そう思っても当然でしょう。

でも、弟は本当に金目当ての常識がない人間なのでしょうか?

実は、弟の真意はこうです。

次男
次男

葬儀がいくらかかるか分からない。葬儀代立て替えても相続手続きがいつ終わるかが分からないし、親父には申し訳ないけど、葬儀代は親父の預金から出したい。

父親の預金を銀行に内緒で引き出して、葬儀代に使う事が良いか悪いかは置いておいて、弟の考え方は合理的なのではないでしょうか?

でも、このような話しを行う前に、いきなり兄から

「常識がない!」「金目当てか!」

と一方的に怒られたら、弟としても良い気分がしないでしょうし、真意を話したくはなくなるでしょう。

2.(自分の中の)相続の常識でもめる

今度は別のパターンです。

父親の葬儀が無事に終わり、少し時間が経過した時のお話しです。

次男
次男

もうそろそろ親父の相続手続きをやった方が良いんじゃないの?

長男
長男

はぁ?お前何言ってるの??まだ四十九日も終わっていないんだぞ!!まだ早いよ!馬鹿じゃないのか!!!

相続手続きに取り掛かるタイミングは、私の感覚的に四十九日が終わった後と言う家庭が多いのかなーと思います。

でも、これはあくまで「そんな感じ」と言うだけで、相続における常識ではありません。

相続手続きの複雑さから、もっと早めに動いた方が良い時だってありますので。

自分が思っている常識は、他の人にとってみれば常識ではなく、その認識がずれてしまって相続でもめる結果になるんです。

弟にしてみれば、こんなに理不尽な事を言われてしまえば、もう兄と話したくはないと思っても不思議ではありません。

そして兄からの連絡を絶って相続手続きが全然進まない、と言った絵に描いたようなパターンになってしまうんですね。

3.相続でもめる原因の本質は、兄弟姉妹間のマウンティング

相続でもめる原因は遺産の分け方ではなく、相続に対する考え方のすれ違いが圧倒的に多いのです。

で、これをもっと突き詰めていくと、相続手続きは最終的には兄弟姉妹間の力関係に大きく影響されるんですよね。

兄弟姉妹間で兄の意見が一番強いのであれば、相続手続きは兄の考え方が一番重要視されるでしょう。

・遺産は年長者が一元管理して、兄弟姉妹には細かい数字を言う必要はない。
・相続手続きは四十九日が過ぎてゆっくりやれば良い。

兄がこんな感じであれば、相続手続きが一向に進む事はなく、他の兄弟姉妹は別に遺産が欲しくなくてもヤキモキしてしまうでしょう。

特に、他の兄弟姉妹に

「やるべき事はとっとと終わらせたい!」

と言う性格の人がいれば、性格が真逆の兄とは意見があわず喧嘩になるでしょう。

喧嘩になって、兄が意見を聞いてくれれば良いのですが、おそらくこのような喧嘩に発展するような兄弟姉妹の関係性では、難しいでしょう。

発言力が一番強い人間は、他の兄弟姉妹をマウンティングする傾向にありますから。

だからこそ、

「お前は昔から常識がない」

と言う発言が出てくるんです。

常に自分が優位に立ちたいのですから、普通に話し合う事はもう無理でしょう。

4.もし、もめてしまったら・・・

とは言え、兄弟姉妹で喧嘩になってしまえば相続手続きが滞ってしまいます。

遺産の分け方でもめているわけではなく、相続の考え方のすれ違いで話し合いができないなんて、誰の得にもなりません。

じゃあ、どうするか?

簡単ですよ。

謝って下さい。

マウンティングした側が、誠心誠意謝罪するのです。

繰り返しますと、あなたの常識はあなただけの常識であり、他の人の常識ではないのです。

その「あなただけの常識」を押し付けた事を、誠心誠意謝罪して下さい。

簡単でしょ?

それが嫌なら、遺産分割調停や審判を行うしかないですね。

数ヶ月から数年かかりますが、そのつもりでいて下さい。

5.まとめ

人が死ぬと言う非日常的な空間では、人の感情はより鋭くなります。

そんな中、ふと意見した事について全力で否定されれば

「もうコイツとは話しをしたくない!」

と思う事はごく自然なんです。

そもそも、全力で否定する必要性もなく、マウンティングを行うと言う事は、他の兄弟姉妹を一人の人間として見ていない証拠でしょう。

相続手続きが思うように進まない場合、

「他の兄弟姉妹をマウンティングしていないか?」
「そもそも、その常識は本当に常識なのか?自分が勝手に常識と思い込んでいるモノを、ただ押し付けているだけではないか?」

と考え、その態度を改める事から始める必要があるでしょう。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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