このような家族信託を提案する専門家は要注意です!

民事信託・家族信託の事例

こんにちは。司法書士の甲斐です。

家族信託がTV等で紹介されるにつれ、家族信託に興味を持たれる方が増えてきております。

このブログをご覧になられている方の中にも、専門家に家族信託の事をご相談された経験がある方もいらっしゃるかもしれませんね。

ところが、一部の専門家が、相談者の方の知識が無い事を良い事に、「やってはいけない家族信託」の提案をしている事を耳にしました。

「やってはいけない家族信託」とは、そもそも信託と認められず無効となったり、無効にはならなくても、家族信託を運用する上で大きな問題がある信託の事を指します。

せっかく将来の安心の為に高いお金を専門家に支払ったのに、意味をなさない家族信託では目も当てられないですよね?

そこで今回は、

「このような家族信託を提案する専門家は要注意!」

をテーマにしてお話ししたいと思います。

1.「委託者が認知症でも大丈夫!」と謳う専門家

家族信託は、委託者がきちんと意思能力がある事が大前提で行う必要があります。

確かに、一口に「認知症」と言ってもその症状は様々です。

ほとんど問題無く意思能力があるケースもあるかもしれません。

しかし、実際に委託者の方と面談を行わない限り、意思能力があるのかどうかは確認できません。

その為、簡単に

「委託者が認知症でも大丈夫」

と謳う専門家には注意して下さい。

なお、

「どうせ家族間の事なんだから、委託者が認知症でも大丈夫でしょ?」

と言って、家族信託を無理やり導入しようとする専門家もいるようです。

このような専門家に家族信託を依頼するのは絶対に止めて下さい。

2.「家族信託の為の口座開設は必要ない」と謳う専門家

家族信託では、受託者は信託財産を自分の財産とは区別して管理する必要があります。

不動産であれば「信託による所有権移転登記と信託の登記」を行う事により、受託者名義である事が登記されて分別管理を行う事ができます。

現金の場合はそのまま管理するのは非常に大変ですし、そもそも管理上としても好ましくありません。

その為、「信託口口座」を解説して、受託者の預金とは区別して管理する事になります。

しかし、本当の意味での「信託口口座」を解説するのは非常に大変なのです。

本当の意味での信託口口座とは、簡単に言えば、受託者の口座とは全く別物として取り扱われる口座の事です。

(例えば、受託者の口座が差押えられたとしても、信託口口座は差押えされない、等)

このような性質を持った口座を開設してくれるよう、金融機関に説明しなくてはならず、その説明が非常に大変なのです。

説明をしても金融機関の理解を得られなかったり、そもそも金融機関として信託口口座の取扱いがなければ、仕方がないので受託者「個人」の口座を新たに解説して、その口座で信託財産である金銭を管理する事になります。

(※信託法には「信託口口座を開設する事」は義務となっておらず、あくまで分別管理を行うのが義務となっています。

その為、分別管理をしっかりと行うのであれば、受託者個人名義の口座でも良い事になります。)

ところが、口座そのものを「開設しなくても良いですよ」とアドバイス(?)する専門家がいるようです。

委託者のキャッシュカードを暗証番号を聞いて、そのまま預金を引き出したりするのですが、これはそもそも信託財産ではありませんので、信託としては無効となるのです。

3.「家族信託は何でもできる」と謳う専門家

確かに、家族信託は成年後見や遺言等ではできなかった事ができます。

しかし、「何でもできる」わけではありません。

例えば、成年後見では絶対に出来ないようなハイリスク・ハイリターンな投資を行ったりする事です。

また、文字通り「何でもできる権限」を受託者に持たせるのもNGでしょう。

4.まとめ

ここまでくると、

「専門家じゃないでしょ!」

とツッコみが可能なのですが、これらは実際に耳にした事例です。

相続もそうですが業界として盛り上がってきますと、ビジネスチャンスとばかりに質の悪いニセ専門家が一定数現れてきます。

本物の専門家か偽物か、見分けるのは非常に難しいと思いますが、一つの見分け方として、

「こんなのは難しすぎて家族信託じゃダメなんじゃ?」

と思われる内容を質問してみて下さい。

何の根拠も示さず「大丈夫ですよ」と言ってくる専門家はまず注意した方が良いでしょう。

もし、相談した専門家の提案が問題がないかご不安の場合、当事務所でセカンドオピニオンのサービスを行っておりますので、お気軽にご相談下さい。

家族信託(民事信託)セカンドオピニオン
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文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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