事例(8)【空き家対策の為の家族信託の活用】

 

家族信託の基本的な事は下記をご参照下さい。
【家族信託のスキーム、流れから注意点まで分かりやすく解説します】

家族信託の事例集です。
【家族信託、民事信託の活用事例】

 

1.具体的事例

太郎さんは70代の一人暮らしの男性です。太郎さんは認知症が進行し、とある老人ホームに入所し、自宅が現在空き家になっています。

空き家は息子の一郎さんが管理しており、時々窓やドアを開閉し空気の入れ替え等を行い、自宅が痛まないようにしています。また庭の草むしり等も積極的に行い、適切な自宅の管理を行っております。

しかし、太郎さんの認知症はどんどん進行しており、自宅に戻れる可能性はほとんどありません。

老人ホームの入所費や生活費等については太郎さんには蓄えがある為問題がないのですが、必要のない自宅の為に固定資産税等を支払うのはもったいないので、一郎さんは自宅の売却を行いたいと考えております。

太郎さんも認知症が発症していない時に「もし認知症になってどこかの施設に入所しなければならない時は、自宅を売却しても良いから」と言っていました。
 
さて、一郎さんは太郎さんの自宅を売却する事が出来るのでしょうか?

 

2.成年後見制度の限界

私の事務所にも事例のような「認知症の父の自宅を売却したい」と言うご相談が良くあります。しかしながら、自宅に戻る事ができないぐらいに認知症が進んでいる場合、成年後見制度を利用しなければ、太郎さんの自宅を売却する事は出来ません。
 
家庭裁判所に対して後見の申し立てを行い、家庭裁判所から選任された成年後見人が、太郎さんの自宅を売却する事になります。
 
ただし、成年被後見人の自宅の売却には家庭裁判所の許可が必要になります。つまり、自宅を売却する必要性が無ければ、家庭裁判所は自宅の売却について許可は出しません。

事例のように施設の入所費や生活費が、成年被後見人の預貯金等から賄える場合、自宅の売却の必要性がありません。固定資産税等の支払いが負担だとしても、自宅を売却する必要性がない為、家庭裁判所の許可は出ないでしょう。

 

3.家族信託を利用した問題解決方法

太郎さんがまだ元気なうちに、太郎さんを委託者兼受益者、一郎さんを受託者とする信託契約を締結します。

信託財産を太郎さんの自宅と、自宅の管理の為の現金とします。

信託の内容を、太郎さんが認知症になって施設に入所し、自宅に戻る可能性が無くなった時に、一郎さんが太郎さんの自宅を売却する、と言う内容にしておけば、後見の申し立てを行う事なく、一郎さんが単独で太郎さんの自宅を売却する事が出来ます。

なお、自宅を売却して得たお金の使い道に関しても、家族信託で決める事が出来ます。そのまま太郎さんの為に使うのも良いですし、他の誰か(太郎さんの孫等)の為にも使っても大丈夫です。

このように、家族信託は非常に応用力があるのが特徴です。

 

4.まとめ -空き家問題は早急に対応すべき問題-

近年、人口の減少や既存の住宅の老朽化、社会的ニーズの変化等に伴い、空き家が年々増加し、空き家に関する様々な問題が指摘されるようになりました。

この空き家に関する様々な問題に対応する為、平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法(通称:空家等対策特別措置法)」が施行されました。

空家等対策特別措置法では空き家所有者に対して空き家の適切な管理の努力義務が定められており、空き家問題に対する対応がますます重要になってきます。

家族信託を利用する事で、空き家を適切に管理・処分する事が出来ます。空き家問題でお困り、お悩みの場合は、家族信託のご利用をご検討下さい。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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