勝手に所有権移転登記をされない為に行うべき事

不動産登記

【事例】
Q:私はとある場所に土地を持っているのですが、先日この土地の件で警察から問い合わせがきました。

実は私に成りすました詐欺師が権利証を偽造し、私の土地を売却しようとしたみたいです。

今回犯人は警察に捕まって事無きを得たのですが、勝手に不動産の名義変更をされない方法がもしあれば教えて下さい。

A:事例のように、精巧な偽造書類を作成されると、完全には防ぐ事は難しいですが、狙われやすい不動産とその手口を知る事で、ある程度は被害を回避する事ができる可能性があります。

1.地面師の存在

地面師とは、他人の不動産を本当の所有者になりすまし、他人の不動産を自分の物であると偽り、第三者に売却したり、銀行からお金を騙し取る詐欺師の事です。

通常は、数人~数十人のグループによって犯行が行われるのがその特徴です。

地面師に狙われやすい不動産は、建物が何も立っておらず、かつ何も抵当権が設定されていない更地が圧倒的に多くなっています。

(過去の事件を見てみても、ほとんどの場合が更地です。)

不動産の売却は、通常不動産会社が仲介を行う事が一般的ですが、不動産会社は必ず現地調査を行います。

その時に建物があれば当然家屋の所有者に会うはずですので、所有者になりすましてもバレてしまう可能性が高いでしょう。

しかし、更地であれば現地調査を行ったとしても、実際に誰が占有しているのかは分かりませんので、所有者に成りすましてもバレる可能性は少なくなります。

さらに、抵当権が設定されている場合、不動産の売却の為には抵当権を抹消する必要があり、その為には抵当権を設定している金融機関と打合せを行う必要があります。

その金融機関との打合せの際に、不動産の所有者になりすましてもバレる可能性があるでしょう。

これが更地が地面師に狙われやすい理由です。

2.地面師の手口

① 売れそうな更地を見つけ、登記事項証明書を取得する。

売れそうな更地を見つけたら、地図等でその更地の地番を確認し、法務局で登記事項証明書を取得し、成りすます所有者を決めます。

不動産の登記事項証明書は誰でも簡単に取得出来ますので、この段階で地面師による犯罪行為を未然に防ぐ事は不可能です。

② 登記に必要な権利証、印鑑証明書を偽造する(若しくは盗み出す)。

その地面師のグループにもよりますが、一見しただけでは本物と見分けができないぐらいの精巧な書類を作成する事もあります。

その書類を使用し、不動産の所有者になりすますのです。

③ 不動産会社に売却を依頼し、買主よりお金を騙し取る。

この段階で不動産会社や司法書士が売主の成りすましに気が付かなければ、買主はお金を騙し取られてしまいます。

なお、残金決済を急ぐ等の特徴があり、怪しいと思った司法書士はこの時点で書類の偽造を見抜く事もあるのですが、上述したとおり、最近は精巧な書類が作られる為、偽造を見抜く事は非常に困難になっています。

3.勝手に所有権移転登されない為の予防とその対策

① 定期的に権利書と実印が盗まれていないかをチェックする。

所有権移転登記には、原則、権利証と実印が必要になりますので、期間を定めて権利証、印鑑が盗まれていないかチェックをして下さい。

なお、万が一権利証を盗まれていた場合は、警察に届けるのと同時に、権利証の効力を失わせる手続きが有りますので、その手続きも併せて行うようにして下さい。

(詳細は法務局やお近くの司法書士にお問い合わせ下さい。)

② 定期的に登記事項証明書を取得し、知らない登記がされていないかチェックする。

特に所有している不動産が更地である場合にお勧めします。

万が一勝手に所有権移転登記が行われた際に、迅速に行動する事ができます。

③ 定期的に不動産を見回り確認する。

これも主に更地のケースですが、定期的に土地を見回り不審な人物が出入りしていないか確認をします。

④ 毎年届いていた固定資産税の納付書が届かなくなったら要注意。

固定資産税はその年の不動産の所有者に課税されます。

この納税通知書が届かなくなったと言う事は、勝手に所有権移転登記がされた可能性が高いです。

4.まとめ

詐欺の手口はますます巧妙になっており、それを見破る事が非常に難しくなっていますが、ほんの少しの手間で、被害を最小限に食い止める事ができる場合があります。

大切なご自分の財産である不動産を、勝手に所有権移転登記されないように管理される事をお勧めします。

なお、万が一勝手に所有権移転登記された場合は、警察に届け出て、お近くに専門家にご相談するようにして下さい。

 

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文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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