
こんにちは。司法書士の甲斐です。
昨今、日本人が様々な理由で海外へ渡航する事が増えてます(2018年は約1,800万人。法務省「出国管理統計」より)。
それと同時に急な病気や事故により、海外で亡くなる日本人が毎年約500人前後と、けっして少なくない方が毎年亡くなられています。
日本人が海外で亡くなった場合、基本的には現地の在外公館から外務省に連絡が入り、外務省から遺族に連絡が入ります。
ところが、遺族に連絡が入っても、外国は言葉も文化も日本とは異なります。
一体どのように手続きを行えば良いのでしょうか?
そこで今回は、外国で日本人が亡くなった場合の手続きを見て行きたいと思います。
1.各国の在外公館(日本大使館、総領事館等)への相談
まずは各国の在外公館(日本大使館、総領事館等)に国際電話等で連絡、相談を行いましょう。
在外公館とは、日本国が他国との外交や自国民の保護等のために、他国内へ設置した施設です。
在外公館へ相談をすれば、その国で人が亡くなった場合にどのような手続きを行えば良いかを教えてもらえます。
場合によっては現地に向かう事も検討しましょう。
2.現地関係当局の法的手続きを行う
① 検死及び死亡診断書
在外公館への連絡・相談と同時並行で、現地関係当局の法的手続きを行います。
具体的には警察機関等による検死、医師による死亡診断書や死亡証明書の発行等が必要になってきます。
検死にかかる期間は国によって大きく異なりますので、もし現地に行かれる場合はスケジュールに余裕を持たせる事をお勧めします。
(私が聞いた話しでは、東南アジアの国で検死が3~4日で終了すると言う説明を受けていたところ、実際は1週間以上かかった例もあります。)
なお、死亡診断書は原本一通しか交付されないケースがあります。
その場合は、在外公館に死亡診断書等を提示し、「原本に相違ない」旨の認証文が入った原本証明を取得する事が可能です。
死亡診断書の原本証明は今後の相続手続きで使用する事になりますので、複数枚取得するようにしましょう。
※具体的な手続きは各国によって異なりますので、必ずその国の在外公館当へ確認するようにして下さい。
② 遺体の搬送方法
現地での法的手続きが終了したら、遺体を日本に搬送する事になります。
具体的には、
・遺体のまま搬送。
・火葬を行い遺骨を日本国内に持ち帰る。
のどちらかを選択する事になります。
遺体を搬送する場合エンバーミングと言う遺体の防腐処理が必要になります。
また、遺体のまま搬送するには百万円単位の費用がかかります。
その為、現地で火葬を行う事が出来れば火葬を行い、飛行機で遺骨を日本に持ち込むと言う方法もあります。
(飛行機で遺骨を持ち込む事が出来るかは、事前に航空会社に確認を行うようにして下さい。)
※ 遺骨の状態であっても日本で葬儀を行う事は可能です。
3.死亡届の提出
死亡届は、海外で被相続人が亡くなった事を知った日から三ヶ月以内に、現地の在外公館か被相続人の本籍地のある日本国内の市町村役場に届けます。
この際、外国で発行された死亡診断書等の原本(在外公館の認証文入りの原本証明ではない物)の提出が必要になりますので、念の為に原本もコピーしておきましょう。
また、現地で発行された死亡診断書等の和訳文も提出する必要があります。
和訳は誰が行っても良いので、外国語に堪能な方やインターネットの翻訳サービス等を利用して作成しましょう。
4.海外旅行保険の確認
被相続人が海外旅行保険に加入していなかった確認をしましょう。
被相続人の死亡保険金や現地に向かった際の交通費が保険で降りる場合があります。
5.まとめ
人が亡くなる知らせを聞くだけでも気が動転しますし、さらに海外で亡くなられた場合、どのようにすれば良いか途方に暮れてしまうでしょう。
分からない事だらけでご不安かと思いますが、まずは在外公館と連携し、手続きを行うようにして下さい。