自筆証書遺言の書き方・作成のポイントを分かりやすく解説します

遺言
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こんにちは。司法書士/2級FP技能士の甲斐です。

今回の記事は遺言についてご相談されたい方向けの記事です。

遺言には主にご自分で作成される遺言と、遺言者の遺言の趣旨をヒアリングして公証人が作成する遺言があります。

法律の専門家が関与する公正証書遺言の方が、後々のトラブルを防止する事ができる可能性が高いため、一般的には公正証書遺言がお勧めです。

しかし、その遺言の内容を、公証人や証人二人(公正証書遺言の作成には二人の証人の立会いが必要です)に知られてしまう等のデメリットがあります。

その為、ご自分で遺言を作成する、いわゆる「自筆証書遺言」の作成をしたいと考えている方もいらっしゃるでしょう。

そこで今回は、ご自分で遺言書を作成されたい方の為に、自筆証書遺言のポイントを解説していきたいと思います。

1.自筆証書遺言の基本知識

自筆証書遺言とは、遺言者が遺言の全文(財産目録を除く)・日付・氏名を自書し押印して作成する遺言書です。

財産目録を除く全ての文章を自書しなくてはいけませんので、一部をパソコンで作成したり、ゴム印等のスタンプを利用しても無効になります。

また、動画や音声と言ったデータで残したとしても無効です。

なお、15歳以上で意思能力があれば、誰でも遺言を作成する事ができますが、二人以上の遺言者が同一の書面で遺言を作成する事はできません。

2.自筆証書遺言作成のポイント

① 筆記用具

法律上筆記用具の指定はありませんが、偽造を防止するため文字を消す事ができる鉛筆、シャープペンシル、フリクションボール等のボールペンは使用しないようにしましょう。

また、文字の色に関しても法律上の指定はありませんが、黒や青等の色が一般的でしょう。

なお、カーボン紙を用いて複写の方法で記載した遺言書に関しては、自書の要件を満たした判例があります(最判平成5.10.19)

② 用紙

どのような用紙に記載しても構いません。

(ちなみに、私はスーパーの広告の裏に書かれた遺言を見た事があります。)

しかし、遺言書は長期間保存される事が一般的ですので、ある程度丈夫で長持ちする用紙を使用しましょう。

③ 書式

縦書きでも横書きでも構いません。

また、日本語以外の言語でもきちんと判読できれば問題ありません。

④ 枚数

何枚書いても問題はありませんが、遺言の一体性を確保する為、各書面をホッチキス止めをして、書面のつなぎ目に遺言書に押印した同一の印鑑で契印をしましょう。

(もしくは全ての書面を袋とじにして契印する方法でも大丈夫です。)

⑤ 日付

日付は『平成28年4月10日』のように年月日を正確に記載する必要があります。

これは遺言の作成時に意思能力があった事をはっきりさせる為でもあります。

なお、『平成28年春分の日』のように、年月日を記載していなくても日付が特定できれば遺言が有効となる場合がありますが、あくまで年月日を正確に記載する事が原則です。

【日付が特定できる例】
2002年10月15日
平成25年敬老の日
満80歳の誕生日

【日付が特定出来ず、無効な例】
平成24年9月吉日

※なお、日付を間違えて書いてしまった場合、記載された日付が真実の作成日と相違していても、

・日付記載の誤記である事
・真実の作成日が遺言書の記載その他から容易に判明する場合

は、誤記は遺言を無効とするものでは無いと言う判例があります(最判昭和52.11.21)。

自筆遺言証書に記載された日付が真実の作成日付と相違しても、その誤記であること及び真実の作成の日が遺言証書の記載その他から容易に判明する場合には、遺言はこれによつて無効となるものではない。
裁判所HP裁判例情報より引用
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=64213

例えば、「昭和五拾四拾年」と言う記載は「昭和五拾四年」の誤記である事が明らかであるとして、遺言は有効であると判断された事例があります(東京地裁平成3.9.13)。

⑥ 氏名

通称名・芸名でも問題がないケースもありますが、無用なトラブルを避けるため戸籍上の氏名を記載しましょう。

⑦ 押印・訂正方法

印鑑の種類は法律上指定はありませんが、遺言者の意思を明確にする為、実印で押印しましょう。

また、遺言の訂正方法ですが、訂正した場所に押印し、遺言書の空白に訂正場所を指示し、変更した旨を付記して署名しなければ訂正の効力は生じません。

3.自筆証書遺言のサンプル

遺 言 書

遺言者、山田 太郎は次のとおり遺言する。

1 次の不動産を長男、山田 一郎
(横浜市泉区和泉中央北南三丁目2番1号)に相続させる。 ※(1)

所  在 横浜市泉区和泉中央北南三丁目
地  番 12345番6
地  目 宅地
地  積 123.45㎡

所  在 横浜市泉区和泉中央北南三丁目12345番地6
家屋番号 12345番6
種  類 居宅
構  造 木造スレートぶき2階建
床 面 積 1階 62.34㎡
2階 62.34㎡  ※(2)

2.次の預金を次男、山田 二郎
(横浜市戸塚区戸塚中央南326番地)に相続させる。

○○銀行 ○○支店 普通口座 123456
××銀行  ××支店  普通口座 654789   ※(3)

令和〇年〇月〇日

遺言者

横浜市泉区和泉中央北南一丁目1番1号
山 田 太 郎 

ポイント⑴・・・「あげる」「任せる」「渡す」等と言った曖昧な表現ではなく、「相続させる」と明確に記載しましょう。

なお、財産を相続させたくない相続人に「相続させない」等の表現を行うと様々な疑義が生じますので、この表現は避けた方が無難です(相続分をゼロとする趣旨なのか、廃除する趣旨なのかが不明確だからです)。

ポイント⑵・・・不動産は登記事項証明書に記載されている通りの書き方をします。

「自宅」や「横浜の家」のような表現ですと、不動産の特定が不十分で、場合によっては相続登記ができない可能性がでてきます。

ポイント⑶・・・預金残高は変動しますので記載しなくても大丈夫です。

4.まとめ

自筆証書遺言は誰にも知られず作成する事ができるのがメリットですが、その分法定の要件を欠いたり、曖昧な表現のため遺言執行時にその解釈を巡って非常に時間がかかる事もあります。

その為、自筆証書遺言を作成する場合は、遺言執行時に問題がないように十分気を付ける必要があります。

なお、当事務所では遺言に関するご質問、ご相談を積極的に承っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

文責:この記事を書いた専門家

元俳優(某球団のマスコットの中の人の経験あり)/一般の方向けの有益な情報発信にこだわる、「顔の見える司法書士」/2級FP技能士、心理カウンセラーの資格も取得した「もめない相続の専門家」。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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