「交換」を利用した遺産分割協議のやり直し

こんにちは。横浜市泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、遺産分割協議のやり直しの方法についてご相談されたい方向けの記事です。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:数ヶ月前、亡くなった父の遺産について相続人(5人)で遺産分割協議を行い、各々相続した遺産についての名義変更を行いました。しかし、最近になって相続人である長男と次男が、それぞれ相続した土地を交換したいと言ってきました。

人から聞いた話ですが、相続人全員で合意解除すれば、再度遺産分割協議をやり直す事が出来ると聞きました。遺産分割協議から数ヶ月経過していますが、この場合でも、相続人全員の納得の上で遺産分割協議のやり直しを行う事は可能でしょうか?また、遺産分割協議をやり直す場合、具体的にどのような手続きが必要になるのでしょうか?

 

1.遺産分割協議のやり直し

遺産分割協議が成立した場合、その効力は相続開始の時に遡って生じます(民法第909条)。相続開始時からその遺産について相続した事になりますので、そもそも既に成立した遺産分割協議を解除して、再度遺産分割協議をやり直す事が出来るのかと言う問題があります。

この点につき判例で、「共同相続人の全員が、既に成立している遺産分割協議の全部又は一部を合意により解除した上、改めて遺産分割協議をすることは、法律上、当然には妨げられるものではない」と判示しており(最判H2.9.27)、共同相続人全員の合意があれば、既に成立した遺産分割協議を解除し、遺産分割協議をやり直す事が出来ます。

 

2.既になされた相続登記の変更方法

遺産分割協議をやり直し、それに伴って不動産を相続する相続人が変更した場合、既になされた不動産の相続登記の変更はどのように行うのか、と言った問題が出てきます。これに関しては、まずは既になされた相続登記を抹消し、新たになされた遺産分割協議に基づいて、再度相続の登記を行う方法があります。

なお、既になされた相続登記の抹消原因ですが、既になされた相続登記の原因が「相続」の場合は「錯誤」により、また、登記原因が「遺産分割」の場合は「合意解除」により、抹消登記を行います。

 

3.合意解除が出来ない場合

それでは、事例の場合において、何らかの事情により遺産分割協議の合意解除が出来ない場合はどうすれば良いのでしょうか?例えば他の相続人が忙しくて再度の遺産分割協議が出来ない場合等です。

この場合は、不動産の交換を望む2人だけで手続きを行う事が出来ます。その名前のとおり『交換』と言う法律行為を原因として、お互いの不動産についての所有権を変更する方法があります。事例のような場合であれば、この『交換』を利用した方が手続きとして簡易かも知れません。

 

4.まとめ -税金面等について-

遺産分割協議のやり直した場合、事実上相続後に当事者の合意で贈与が発生したとみなされ、原則贈与税が課せられます。

また不動産の交換を行った場合、交換により譲渡した不動産の時価と取得価額との差額は、原則として所得税の対象となります。ただし、同一用途でかる時価が近似である不動産の交換については、一定の要件のもと、譲渡がなかったものとみなれる制度があります。その場合、所得税は課税されません。なお、不動産取得税や登録免許税は支払う必要があります。

このように、遺産分割協議のやり直しを行う場合も、交換を行う場合も、複雑な法的判断を要する場合がありますので、まずは専門家へのご相談をお勧めします。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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