被相続人が他人にお金を貸していた場合の相続手続き

こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理間セラーの甲斐です。

今回の記事は、被相続人が他人にお金を貸していた事についてご相談、ご依頼されたい方向けの記事です。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私の父は先月他界したのですが、どうやら親戚に160万円を貸していたようです。

相続人は私を含めて子ども3人で、遺産分割により私がその権利を取得する予定です。

なおこの160万円は最初の頃は少しずつ返済されていたようなのですが、ここ数年は返済されていない様子です。

この場合、どのような手続きを行う必要があるのでしょうか?

また、このお金をすぐに返してもらう事は出来るのでしょうか?

1.従前の契約の確認

まずは債務者である親戚と連絡を取り、債権者である父が亡くなった事と、ご相談者が債権を相続した事を通知しましょう。

その時に、従前の契約内容(貸金の元本、利息、支払い方法等)の確認と、現段階における債務の額を確認しましょう。

債権は従前の契約内容と同じ状況で相続されますので、従前の契約内容を確認する事は重要になります。

また、金銭消費貸借契約書や借用書等の、後日の証拠になるような書面が作成されていなかった場合は、今からでも遅くありませんので、必ず作成するようにしましょう。

さらに、最後に返済されたのがいつなのかを必ず確認しましょう。

最後の返済日から10年を経過しますと、その権利は時効により消滅します。

消滅時効が近づいている場合は債務の承認等の時効中断事由を発生させるようにしましょう。

2.貸金の請求

ご質問の中に、「すぐに返してもらう事が出来るのか?」とありますが、これは従前の契約内容によります。

従前の契約が分割払いの場合は、分割での支払いを受ける事になります。

従前の契約で特に返済日を定めていなかった場合は、債務者と返済方法(一括払いか、分割にするのか)について話し合いを行った方が良いと思います。

最終的には債務者の経済的事情が大きく作用すると思うのですが、この点は良く債務者と話し合いをして下さい。

3.公正証書作成の勧め

事例のように、被相続人が身内にお金を貸していた場合、高確率で金銭消費貸借契約書や借用書等と言った書面が、当事者間で交わされていません。

その為、書類が無い場合はこの機会に作成した方が良いのですが、特に公正証書での作成をお勧めします。

公正証書で契約書等を作成し、

「債務者が金銭債務を履行しない場合は、ただちに強制執行に服する旨陳述した」

と言った文言(強制執行認諾約款)を入れておくと、もし債務者の支払いが滞った時に、裁判を行わずに強制執行を行う事が出来るからです。

なお、書面の作成に関してはこちらもご参照下さい。
お金を返してほしい時に絶対にやるべき事

4.まとめ

遺産分割協議において、債権を相続する事も珍しくないとは思います。

その時に重要なのは、何度も申し上げますが、契約書、借用書の確認とそれが作成されていなければ作成する、と言った点です。

書面が有るのと無いのでは、今後の展開が大きく変わってきますので、借金に関する書面は必ず作成するようにしましょう。

当事務所では、金銭消費貸借契約書の内容のご相談や、公正証書で作成する際の文案のご相談等も承っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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