相続の基本。遺産の名義変更の方法について

こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

今回の記事は、遺産の名義変更についてご相談されたい方向けの記事です。

相続が開始し、遺産分割協議も整えば、後は各遺産について、相続人への名義変更を行う事で相続手続は一段落します。

ただし、遺産の種類によって名義変更の手続が異なってまいりますので、ここでは、遺産ごとの具体的な名義変更の手続を解説していきます。

 

1.銀行預金の名義変更

① 手続きと添付書類

各金融機関によって多少の違いがありますが、基本的には、各金融機関指定の相続に関する届出書を記入、作成し、下記の添付書類と一緒に、金融機関へ提出を行います(詳細は各金融機関へお問い合わせ下さい)。

なお、届け出期間には特に制限はありません。

(添付書類)
・遺言書(存在する場合)
・被相続人の戸籍(除籍)謄本(出生から死亡までのもの)
・相続人全員の戸籍謄本及び印鑑証明書
※戸籍(除籍)と印鑑証明書は、金融機関によっては、取得後3~6か月以内と指定される場合があります。
・相続関係説明図
・遺言執行者の印鑑証明書(遺言書がある場合)
・預金通所、届出印、キャッシュカード

【注意点】
・遺言書が存在しているが、遺言執行者の指定が定められていない時は、家庭裁判所に遺言執行者選任の申立てをし遺言執行者を選任してもらうか、または法定相続人の全員の署名・押印が必要です。

・書類の提出先は被相続人の預金口座がある金融機関の支店です。

同じ金融機関でも複数の支店の口座がある場合は、支店ごとの手続を求められることもありますが、金融機関によっては、一回の手続で複数の支店の名義変更の手続ができる事もあります。

② 遺産分割協議前に預金の払戻しを受ける事ができるか?

判例(最判昭29.4.8)では、被相続人の死亡によって各相続人は、自己の相続分について、個別に払戻しを請求する事ができます。

しかし、銀行実務では、各相続人は単独で被相続人名義の預金を引き出す事はできません。

とは言っても、例えば多額な葬儀費用が発生しても、遺産分割協議を行わなければ被相続人の預金を引き出す事ができなければ、遺産分割協議が整うまでの長期間、相続人に想定外の負担が生じます。

その為、各金融機関は事情によっては、遺言書がなく、かつ遺産分割協議前であっても、法定相続人全員の合意があれば、預金の一部払戻しに応じておりますので詳細は各金融機関にご相談下さい。

【追記】
現在は上記の判例が変更され、預貯金は遺産分割協議の対象となり、遺産分割協議を行わない限り、相続手続きは出来ないのが原則です。

ただし、銀行によっては様々なケースに対応できる場合がありますので、詳細は各金融機関にお問合せ下さい。

③ 代理人による銀行預金の名義変更

委任状等があれば、代理人によって被相続人の銀行預金の名義変更を行う事ができます。

ただし、代理人となれるのは、司法書士、弁護士のみです。他の資格(行政書士等)は代理人とはなれませんのでご注意下さい。

 

2.不動産の名義変更

手続きと添付書類

該当の不動産を管轄する法務局に対して、登記申請を行います。

なお、手続きの詳細については下記をご覧下さい。

⇒相続登記のやり方

 

(添付書類)
・遺言書(存在する場合)
・被相続人の戸籍(除籍)謄本(出生から死亡までのもの)
・被相続人の住民票の写し(本籍地入り)
・相続人全員の戸籍謄本及び印鑑証明書
・不動産を取得する相続人の住民票の写し
※戸籍(除籍)と印鑑証明書は取得期間に制限はありません。
・相続関係説明図
・遺産分割協議書(遺言書がない場合)
・固定資産評価証明書

 

3.株式の名義変更

① 手続と添付書類(遺産分割協議前)

株式は、被相続人の死亡によって、遺産分割協議がされるまでの間は相続人間の準共有状態になります(民法264条)。

さらに会社法では、株式が2人以上の者の共有に属するときは、原則として共有者間で当該株式についての権利を行使する者1人を定め、株式会社に対しその者の氏名または名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない事が定められています(会社法第126条)。

その為、遺産分割協議前において株式について権利を行使したい場合は、相続人は、株式発行会社に対し、株主の権利行使者および株主に対する通知・催告の受領者を指定した事を通知する必要があります。

(通知先)
・株式発行会社(原則)
・株主名簿管理人(株式発行会社が株主名簿管理人を置いている場合)

なお、上場株式の場合は、証券会社を通じて通知できます。

(通知方法)
「株主の権利行使者および株主に対する通知・催告の受領者の指定通知書」を上記の通知先に対して、下記添付書類とともに提出します。

(添付書類)
・被相続人の戸籍(除籍)謄本(出生から死亡までのもの)
・相続人全員の戸籍謄本及び印鑑証明書

※詳細は株式発行会社等にお問い合わせ下さい。

② 株主名簿記載事項証明書の請求

遺産分割協議を行う前提として、株式数を正確に把握する必要があるため、株式発行会社等に対して、株主名簿に記載されている株式数についての証明書を請求します。

(請求先)
・株式発行会社(原則)
・株主名簿管理人(株式発行会社が株主名簿管理人を置いている場合)
・証券会社(上場株式の場合)

(必要書類・添付書類)
・株主名簿記載事項証明申請書(残高証明請求書)
・被相続人の戸籍(除籍)謄本
・相続人全員の戸籍謄本及び印鑑証明書

※詳細は株式発行会社等にお問い合わせ下さい。

 

③ 株主名簿の名義書換請求

株式を相続した相続人が、株式発行会社に対し権利行使をする為には、株主名簿の名義書換を行わなければならないため(会社法130条)、株式発行会社に対して名義書換の請求を行います。

(請求先)
・株式発行会社(原則)
・株主名簿管理人(株式発行会社が株主名簿管理人を置いている場合)
・証券会社(上場株式の場合)
※上場株式の場合、例外的に信託銀行等に対して請求する場合がありますが、ここでは割愛します。

(添付書類)
・被相続人の戸籍(除籍)謄本(出生から死亡までのもの)
・相続人全員の戸籍謄本及び印鑑証明書
・遺産分割協議書

※詳細は株式発行会社等にお問い合わせ下さい。

 

以上、遺産の種類によって、名義を変更する手続きは様々で、場合によっては多くの時間が必要となる場合があります。

遺産の名義変更に関してお困りの際は、お気軽に当事務所にご相談下さい。

 

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー
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