不動産が遺産の多くを占める場合の相続対策とは?

相続一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回の記事は、多数の不動産を所有している方が考えるべき相続対策について解説していきます。

(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私は今年で65歳になります。

勤めていた会社を定年退職し、そろそろ自分の相続の事を考えようと、相続や遺言に関するセミナーを受けているのですが、そこでは必ず、「不動産を複数持っていれば、必ず相続対策を行うべきだ」と言われます。

私は自宅以外にも、横浜市内に複数投資用の不動産を所有しています。

不動産を持っていると、具体的にどのような相続対策を行うべきなのでしょうか?

セミナーではとにかく「不動産は大変」の一点張りで、具体的な話が出てきません。

不動産を複数持っている場合に相続対策を行う必要がある理由を、具体的に教えて下さい。

1.相続財産に不動産が多い場合の問題点

① 相続税納付の問題

相続財産に不動産が多数ある場合の問題点として、まず考えられるのは「相続税」の問題です。

つまり、相続財産が相続税の基礎控除額を超えていて相続税の納付義務がある場合、納税資金をどうするか?と言った問題です。

相続税は原則、金銭にて納付する必要があります。

(まれに物納が認められる事がありますが、原則は金銭です。)

その為、相続税納付の為の資金はきちんとあるのか?無い場合はどうやって資金を確保するのか?と言った事を考えなくてはいけません。

② 相続財産の承継の問題

相続人の中には

「お金は欲しいけど、不動産は欲しくはない。投資物件って、管理とか大変だし」

と思う相続人がいるかも知れません。

どの不動産を誰に相続してほしいのか?相続人は不動産を相続したいと思っているのか?これも考えなくてはいけない内容です。

③ 遺産分割の問題

「相続財産の承継の問題」と被るかもしれませんが、相続財産のほとんどが不動産の場合、その分け方が問題になります。

不動産は分けにくい財産です。この点をどうするのか?問題は沢山あります。

2.問題の解決方法

① 不動産の所在や地番・家屋番号の把握

まずはご自分の不動産を正確に把握する必要があります。

当事務所にご相談にいらした方にこの話をすると「不動産の場所は全て把握してる」とおっしゃられる方がいらっしゃいます。

しかし、この場合の「正確に把握する」とは、ご自分が所有している全ての不動産について「土地であれば所在や地番、建物であれば家屋番号が分かっている状態」の事を指します。

おそらく、ほとんどの方がご自分が所有している不動産の所在や地番・家屋番号は分からないと思うのですが、これらは不動産を特定する為には重要な情報となります。

そもそも、所在や地番・家屋番号が分かっていなければ不動産が特定できず、相続人が相続登記を行う事が出来ませんので、分かりやすく一覧表にして整理する必要があります。

所在や地番・家屋番号の確認方法は、不動産の権利証を見てみたり、毎年4月頃に市区町村から送られてくる固定資産税の納税通知書に記載されています。

② 登記事項証明書の取得

所在等が確認出来たら、各不動産について登記事項証明書を必ず取得しましょう。

目的は、スムーズな相続登記を行う上での弊害がないかチェックをする事です。

例えば、まだ支払い中の住宅ローンの抵当権が設定されていた場合、相続が発生した場合に相続人にどうしてほしいのかの意思表をします。

(例えば、団体信用生命保険に加入しているから、自分が死んだら住宅ローンを支払っている銀行に連絡してほしい、等)

③ 相続税の試算をする

税理士に依頼して、現状で相続税がいくら発生するのかを計算、その相続税を支払う事が出来る現金・預金があるのかを確認します。

納税資金に困っていまう場合は、優先順位が低い不動産の売却や、生命保険の活用等を考えなくてはいけません。

④ 相続人とコミュニケーションを図る

遺産承継の問題は、ご自分の相続人となる人としっかりコミュニケーションを取り、相続人が何を望んでいるのかを理解するよう心掛け、解決していきましょう。

⑤ 遺言を作成する

不動産は分けにくく、どうしても不公平になりやすいので、相続人がもめる原因になります。紛争を未然に防ぐような遺言を作成して、相続人に余計なストレスをかけないようにしましょう。

3.まとめ

このように、遺産の多くが不動産の場合、色々な問題が発生する可能性があります。

中には非常に頭が痛くなるような問題もありますが、まずは行動をしなければ問題はそのままです(むしろ酷くなる事があります)。

遺産の中に不動産がある場合は、きちんと相続対策を行い、相続人がスムーズな相続手続きを行う事が出来る様に、今から準備しておきましょう。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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