遺留分対策(相続対策)で生命保険活用時の注意点

こんにちは。横浜・泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、遺留分対策について生命保険を検討されている方に対して、その注意点を解説していきたいと思います。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q:私の財産と言えるものは自宅のみなのですが、この自宅を妻に相続させる遺言書を作成したいと考えています。しかし、私には一人息子がおり、息子が遺留分を主張した場合、最悪の場合は自宅を売却する必要があり、妻はこの家を出て行かなければならないかも知れません。

そのような不安を抱えていたら、法律に詳しい友人から、「遺留分対策として生命保険を活用すれば良い」とアドバイスを受け、私がもしも死亡した場合。遺留分に相当する保険金を息子が受け取れるようにしました。もうこれで、息子から妻に対して遺留分を請求される事はないのでしょうか?

A:事例の場合は遺留分対策になっていません。その為、奥様に対して息子様から遺留分の請求がされる可能性があります。

 

1.遺留分とは?

遺留分とは相続人が被相続人の兄弟姉妹以外の場合に法律上認められた、最低限度の相続分です。事例の場合、妻に唯一の財産である自宅を相続させた場合、子どもは何も相続する事が出来ませんから、遺留分を請求される可能性があります。

遺留分を請求された場合、それを支払う事が出来る現金等があればよいのですが、現金等がない場合は、最悪自宅を売却しその売却代金から請求された遺留分を支払う必要があります。それでは自宅を妻に相続させた当初の目的を達成する事が出来ません。その為、このようなケースの場合、遺留分対策として、生命保険の活用が考えられるのですが、この注意点も存在します。

 

2.遺留分対策として生命保険を活用する際の注意点

事例のケースでは、遺留分相当額の保険金を息子が受け取れる事が出来るようになっています。その為、息子からもう遺留分を請求される事はないのでは?と思われるかも知れませんが、実はこれは大誤解です。この状態では遺留分を請求される事があります。

その理由は、「受取人が息子になっている生命保険金は、あくまで息子固有の財産であり、相続財産ではありません。つまり、相続財産を受け取っていない」のだから、遺留分を請求出来るのです。

税法上は生命保険はみなし相続財産となるのですが、あくまで税法上です。相続手続上は、受取人が指定されているのであれば、その受取人固有の財産となります。つまり、事例の息子は、相続財産とは別に保険金を受け取ってはいるのですが、未だに遺留分を侵害されている事には変わりはないのです。

 

3.生命保険を活用した正しい遺留分対策

事例のような場合で、自宅を妻に相続させ、遺留分対策もきちんと行う為には、保険金の受取人を妻にしていれば良かったのです。そうすれば、いざ息子から遺留分を請求された場合、妻はその保険金で対応する事が出来るのです。

「自宅も保険金も全部妻に渡すのか?」と驚かれるかも知れませんが、この方法であれば「自宅を妻に残したい」と言うご主人の想いを実現する事が可能になるのです。

 

4.まとめ

相続では様々な専門家が様々な情報を発信している為、時には先入観や誤解によって手続きを間違ってしまう事があります。ほんの少しのミスかも知れませんが、重大な結果を招く事もしばしばあります。相続の事は、必ず信頼のおける専門家にご相談するようにしましょう。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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