これって遺産なの?遺産分割協議における遺産の範囲の確定

相続・家族信託の専門家

こんにちは。

今回の記事は、相続手続きにおける、遺産の範囲についてのお話しです。

「何が相続できるのか?」と言ったお話しですので、これは絶対に間違えないようにおさえる必要があります。

相続が開始されると、被相続人の遺産は原則として共同相続人の共有状態になります。

この共有状態を解消して、各遺産の帰属を確定させるのが、遺産分割協議です。

この遺産分割協議を行う為には、「そもそも何が遺産なのか?」を確定させる事が重要となるのですが、実は、この遺産の範囲に関しまして、紛争の原因になる事があります。

下記に遺産分割の対象となる財産の範囲の一部を記述致しますので、参考にして頂けたら、と思います。

1.遺産分割の対象となる財産の範囲

① 不動産 

土地、建物その他の定着物(樹木等)です。

不動産は当然に遺産分割の対象となります。

自宅(土地・建物)は当然、投資用不動産(アパート等)、田、畑も不動産ですので遺産になります。

② 不動産賃借権

不動産賃借権は借主の死亡により消滅しません。

また、被相続人固有の権利とも言えませんので、遺産分割の対象となります。

ただし、公営住宅を使用する権利は、判例により遺産の対象とならないとされています。

③ 現金

現金は当然に遺産分割の対象対象になります。

現金で見落としがちなのが、『タンス預金』です。昔の人は結構な額の『タンス預金』を行っている場合がありますので、家の中をしっかりとチェックするようにして下さい。

④ 預貯金等の金銭債権

判例では、預貯金等の金銭債権は、遺産分割協議を待つまでもなく、相続開始とともに当然に分割され、各相続人に法定相続分に応じて帰属するとされています。

つまり、預貯金等は遺産分割の対象にはなりません。

現金と預貯金で取扱いが違うのが、実務上の特徴です。

ただし、相続人間で預貯金等を遺産分割の対象とする合意があれば、遺産分割の対象とする事ができますし、実際に遺産分割の対象としているケースがほとんどです。

※平成28年12月19日追記
平成28年12月19日の最高裁判例変更により、預貯金も遺産分割の対象となりました。

⑤ 損害賠償請求権

被相続人が不法行為又は債務不履行によって取得した損害賠償請求権は、上記の預貯金と同様、金銭債権ですので、原則として遺産分割の対象とはなりません。

その為、遺産分割の対象とする為には、相続人間の合意が必要です。

⑥ 生命保険金

保険契約者が自己を被保険者(被相続人)とし、相続人中の特定の人物を保険金受取人と指定した場合は、指定された者の固有の権利となりますので、遺産分割の対象とはなりません。

ただし、特別受益に当たる例外的なケースがあったり、相続税法では「みなし相続財産」とされますので、注意が必要です。

⑦ 死亡退職金

実務上は退職金支給規定等の確認を行い、個別的に遺産性の有無を検討する事になります。

賃金の後払いとしての性質が強いのであれば遺産性がある、遺族の生活保障としての性質が強いのであれば、遺産性がない、と言う事になります。

⑧ 相続開始後の賃料、利息及び配当金等(遺産から生じた果実及び収益)

例えば、賃貸アパートの賃料債権がこれに該当します。

これは遺産とは別の財産となり、共同相続人の共有財産となります。

その為、遺産分割の対象とする為には相続人間の合意が必要となります。

⑨ 株式、国債等

遺産分割の対象となります。

⑩ 投資信託

遺産分割の対象となりますが、分割債権として取り扱うかどうかについて見解の相違があります。

可分債権であれば、遺産分割協議前に自己の相続分の範囲で権利を行使する事ができますし、不可分債権であれば、行使する事ができません。

投資信託の内容を確認し、個別具体的に判断されます。

2.遺産分割の対象から除外される財産

① 金銭債務

金銭債務(借金等)は、法律上当然に分割され、各相続人にその相続分に応じて承継されますので、遺産分割の対象にはなりません。

相続人間で金銭債務について負担する者を決める事は問題ありませんが、それはあくまで相続人間の合意ですので、債権者が承諾しない限り、他の相続人が債務の負担を免れる事はできません。

② 葬儀費用、香典、祭祀財産、遺骨、遺産管理費等

遺産とは別の性質の財産です。

3.まとめ

上述したとおり、何が相続できるのか(何が遺産になるのか)、しっかりと理解しておかなければ、適切な遺産分割協議を行う事は出来ません。

「面倒だから取り敢えず後回しでいいや」と思っていると、想定外の事がおこり、遺産分割協議が不可能になる事があります。

相続手続きは早めに、かつ適切に行うようにしましょう。

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