相続で亡くなった方の遺言書を発見した場合

こんにちは。横浜・泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、遺言を発見された場合についてご相談されたい方向けの記事です。(なおご紹介する事例は、非常に良くあるご相談を参考にした創作です。)

【事例】
Q.先日、父が亡くなりました。葬儀も無事に終了し、父の家を整理していたのですが、父の机の中から「遺言書」と書かれた、封がされた封筒が出てきました。直ぐに開封しても良いのでしょうか?また、遺言書を発見した場合の今後の流れを教えて下さい。

A.事例の場合、封印された自筆証書遺言ですので、家庭裁判所における検認時に開封する必要があります。

 

1.自筆証書遺言とは?

遺言には色々な種類がありますが、ご自分で作成できる、一番簡易な遺言が、「自筆証書遺言」です。自筆証書遺言とは、遺言者がその全文、日付、氏名を手書きし、押印する事によって有効に成立する遺言の形式です(民法第968条)。自筆証書遺言は下記の点がポイントとなります。

・全文、日付、氏名を手書きする必要がある為、一部でもワープロで作成した遺言は無効となります。また、遺産目録を別紙形式でワープロで作成したとしても無効になります。
・日付は年月日をきちんと記入する必要があります。例えば、『平成3年4月吉日』と書かれた遺言は無効となります。
・事例のように封筒に入れ封をする事までは要求されていませんが、誰にも見られないように封をする事が一般的と思われます。
・遺言の管理は自分で行う必要がある為、どこにしまったか忘れるリスクもあります。

この様に注意すべき点、ポイントが沢山ありますが、それでも誰にも知られず、かつ簡易にご自分の意思を残す事ができるメリットが、自筆証書遺言にはあります。

 

2.検認とは?

相続人が被相続人の遺言を発見した場合、遺言を家庭裁判所に提出して、検認を請求しなくてはいけません(民法第1004条)。『検認』とは、相続人に対して遺言の存在、その内容を知らせるとともに、遺言の偽造・変造を防止する一種の証拠保全の為の手続きです。
検認の目的はあくまで保全であり、遺言の有効・無効を判断する手続きではありません。その為、検認が行われたとしても、その後に遺言の有効・無効を争う事はできます。

 

3.検認の流れ

① 検認の申立て

相続が開始した地を管轄する家庭裁判所に対して必要書類を記入・提出し、検認の申立てを行います。『相続が開始した地』とは、被相続人の生活の拠点の事で、通常は住民票に記載されいる場所の事です。住所が知れないときは、実際に暮らしている居所が住所となります。
申立に必要になる書類は、各家庭裁判所によって多少異なるかも知れませんが、概ね次のとおりです。

⑴ 申立書
⑵ 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改正原戸籍)謄本
⑶ 相続人全員の戸籍謄本(相続人の順位によって集めるべき戸籍等が異なります)。

② 家庭裁判所からの連絡

家庭裁判所から各相続人に対し、遺言の検認を行う日時が通知されます。なお、申立人以外の相続人は、検認を行う日時にどうしても予定があり欠席したとしても、何かの不利益になる事はありません。

③ 検認期日

家庭裁判所は、申立人や他の相続人の立会いのもと、封印されている遺言については開封し遺言の検認を行います。
注意すべき点は、上記の赤字の部分です。つまり、封がされた遺言は家庭裁判所において他の相続人(若しくは代理人)の立会いの下、開封しなくてはいけません。もし無断で開封してしまった場合は、遺言が無効になるわけではありませんが、5万円以下の過料に処せられます。

④ 検認済証明書の申請

遺言書に基づく各遺産の名義変更を行う場合に必要になりますので、検認済証明書の申請を行います。

 

4.まとめ

以上、自筆証書遺言を発見した際の流れを簡単にまとめてみました。遺言書の手続き等は一生に一度あるかないかの手続きですし、色々と知識を勉強したとしても、実際に良く分からない事も発生すると思います。遺言に関しましてお悩み、ご不明な点がございましたら、お気軽に当事務所へお問い合わせ下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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