若くても関係ない。人生において遺言を作成すべき3つのタイミングとは?

遺言

「遺言はお年寄りが書くもの。」

遺言について、あなたはこのようなイメージがありませんか?

実際に本屋で売っている遺言に関する書籍を見ても、70代ぐらいの男女のイラストが良く描かれています。

その為、「遺言はおじいちゃんおばあちゃんになった時に書けば良い」と考えてしまうかも知れませんが、実はこれは甘い考えです。

まだまだ若い世代の時、20代や30代でも遺言を書いておかないと後々困る事が起こる事を、あなたはご存じですか?

遺言を書くべきタイミングは人生において多々ありますが、今回はその中でも重要な3つのシーンを取り上げてみたいと思います。

1.マイホームを購入した時

結婚して大きな財産であるマイホームを購入した時(もしくはその逆でマイホームを購入して結婚した時)は遺言を作成すべきです。

このお話しすると、ほぼ100%、

「マイホームを購入する時って若い時なのに、なぜ遺言が必要なんですか?」

と言うリアクションが返ってくるのですが、これにはきちんと理由があります。

その理由について、夫が亡くなったケースで状況を2つに分けてお話ししましょう。

① 子供がいない時

マイホームを購入する時は基本的に若い時ですので、まだ子供がいない事もあるでしょう。

では、子供がいない夫婦の場合、例えば夫がマイホームを購入した翌日に交通事故等で亡くなってしまったらどうなるのか?

(若ければ絶対に死なないってわけではありません。)

勘の良い方は、もうお分かりでしょう。

このケースの夫の相続人は、妻と夫の両親です。

(夫の両親や祖父母が他界している場合、夫の相続人は妻と夫の兄弟姉妹になります。)

つまり、遺言が無ければ、妻は自分にとって義理の父母と遺産分割協議を行う必要があるのです。

この状況をイメージしてみて下さい。

夫であるあなたが亡くなり、自分の両親と妻がマイホーム等の財産についてどのように分けるのかを話し合うのです。

夫の父母が物分りの良い方であれば、

「財産は〇〇さんが全て相続すれば良いよ。」

と言ってくれて問題は起きないでしょう。

しかし、幼い頃から一緒の環境で生活しておらず価値観が共有されていない、人間関係が構築されていない場合、このように簡単に物事が進むでしょうか?

さらにメインの遺産は分けにくい不動産です。

遺産分割協議が難航する事が容易に想像できるはずです。

② 子供がいる場合

夫婦に子供がいる場合、夫の父母は相続人ではありませんが別の問題が出てきます。

夫婦が若いと言う事は、子供も未成年である事がほとんどでしょう。

この場合、未成年の子供と妻が遺産分割協議を行うためには、法律上「特別代理人」を選任する必要があります。

特別代理人の選任は管轄の家庭裁判所に申立書を提出して、家庭裁判所に選任してもらいます。

その時に、申立書に特別代理人の候補者を記載するのですが、実務上は子供の祖父母や叔父叔母を記載します。

(未成年の子供が複数いる場合、その子供の人数分、特別代理人は必要になります。)

つまり、これらの親族に事前に説明し、特別代理人になってもらう事を了承してもらう必要があるのです。

無事に特別代理人が選任されたとしても、さらに一手間あります。

妻と特別代理人で遺産分割協議を行うのですが、相続人それぞれの相続分は原則「法定相続分」による相続である必要があります。

つまり、子供がどんなに小さく財産の活用能力が無くても、財産を相続させる必要があります。

ただし、それだとあまりにも杓子定規なやり方ですし、残された妻にとってみれば子供たちを養う必要がある為、全ての財産を相続したいと言う思いもあるでしょう。

その様な『妻に全財産を相続させる例外』は場合によっては可能ですが、その為の書類を作成し、家庭裁判所に提出する必要があるのです。

どうでしょう?

夫が急死して精神的に追い詰められている方が、このような煩雑な手続きを行う気になるでしょうか?

このような時、「妻に全財産を相続させる」旨の遺言さえあれば、上記のステップを踏むことなく相続手続きを行う事が可能なのです。

2.50代になった時

これはデータがあります。

厚生労働省が発表しました「平成30年人口動態統計月報年計(概数)の概況」の「表6-1 年齢(5歳階級)別にみた死亡数・死亡率」によりますと、

45歳~49歳の死亡率(人口10万人対)が、「147.2」に対して、50歳~54歳になりますと、「236.8」に増加し、さらに55歳~59歳になりますと、「362.4」と、増加の一途を辿っています。

平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況|厚生労働省
厚生労働省の各種統計結果、平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)の概況について紹介しています。

50代と言えば、現役バリバリの世代で仕事に対する責任、やりがいは若い時と比較して比べ物にならないでしょう。

一方で仕事のストレスも尋常ではないでしょうし、身体の衰えが顕著になってきます。

会社の健康診断で注意すべき項目が何か所も見つかる事も多く、また何らかの病気で長期入院し、ご自分の命の事について考えた事がある方もいらっしゃるはずです。

つまり、50代は現役世代でありながら、かつ今のご家族の為に、相続の事もしっかりと考えなくてはいけない重要な世代なのです。

また、50代であればそれなりの財産があったり、逆に借金もあるかも知れません。

財産の状態がきちんと整理されていない、グチャグチャな状態で急死すると当然残された家族はパニックになります。

残される家族の為にも、50代を超えたら遺言等の相続対策を真剣に考えるべきです。

3.定年退職をした時

仕事も辞めて、第二の人生が始まり、自由な時間が増えますので、いよいよ相続の事を考えるべき時期です。

巷では「人生100年」なんて言われていますが、三大疾病や認知症等を考えると、心身ともに健康な時代はこれよりも短くなるはずです。

遺言を含む相続対策は心身ともに健康な状況でなければ適切な判断を行う事は出来ません。

命にかかわる大病を患ったとある方から、

病気から回復して数年経過したけれど、気が滅入って遺言を書く気になれない。書かなければいけないのは分かっているのだけれど。

このような話しもお伺いした事があります。

相続の事を考えるラストチャンス!

と言うのは大げさかもしれませんが、定年退職をした直後は色々な事を考える時間がありますから、遺言を作成する適切な時期であると言えるでしょう。

4.まとめ

実際はもっと沢山遺言を作成した方が良い人生のタイミングはあります(再婚した時等)が、まずは重要だと思われる3つのタイミングを挙げてみました。

なお、上記のケースでも最低相続分である遺留分の問題はどうしても発生します。

それでも事前の対策を行えば遺言を残さなかった場合によるトラブルを防ぐ事が出来るでしょう。

「遺言はお年寄りが書くもの」と言う固定観念は捨てて、適切なタイミングで適切な遺言を作成するようにしましょう。

なお、実際に遺言を作成する場合は、財産やご家族の状況等、考慮すべきポイントがあります。

その為、遺言を作成する際は、弁護士や司法書士と言った専門家にご相談する事をお勧めします。

当事務所でも遺言作成に関するサポートを行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

文責:この記事を書いた専門家

元俳優(某球団のマスコットの中の人の経験あり)/一般の方向けの有益な情報発信にこだわる、「顔の見える司法書士」/2級FP技能士、心理カウンセラーの資格も取得した「もめない相続の専門家」。
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