遺留分に配慮した遺言にすべきか?

遺言

こんにちは。司法書士/2級FP技能士の甲斐です。

本日は遺言について良く議論になる「相続人がもめないために、遺留分に配慮した遺言を書くべきか?」と言うお話です。

『遺言を書いて、相続人の誰かに自分の財産を全部譲りたいけど、でもそれは他の相続人の遺留分を侵害する事になるし、だったら他の相続人には遺留分相当の財産を残す、と言う方法もあるけど、でもやっぱり自分の財産を全部残したい人がいるし・・・』

特定の相続人に、自分の財産の全てを残す旨の遺言を作成したい場合、避けても通れないのが「他の相続人の遺留分」の問題です。

実はこの遺留分に関して、配慮した遺言にすべきと言う意見と、配慮しなくても良いと言う意見が、専門家の中でも対立しています。

そもそも、本当に遺留分侵害額請求をしてくるのかが分からないのに、わざわざ遺留分に配慮する必要があるのか?とか。

遺留分に配慮しない事により、相続人間で絶対に争いが発生するので、遺留分に配慮すべきだ、とか。

色々な意見があります。

これは結局のところ、絶対的な答えがない問題であり、その為に一般の方が非常に混乱してしまう分野の一つとなっているのが現状です。

その為、今回は、遺留分に配慮した場合と配慮しない場合のメリット・デメリットを解説して、あなたが遺言を作成する際に、最終的にどちらの遺言にすべきかの判断材料として頂きたいと思います。

1.遺留分とは?

遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人が持っている、最低限度の相続権です。

これはたとえ遺言でも侵害する事が出来ない権利ですので、遺留分を持っている相続人が上記のような遺言で、自分の遺留分を侵害されている事を知った時は、侵害している相続人に対して、遺留分を請求する事が出来ます(民法第1046条)。

なお、上記の下線のとおり、相続人が被相続人の兄弟姉妹の場合、遺留分はありません。

2.遺留分を配慮した遺言の場合

① メリット

・実際に相続が開始した場合、相続人間で争いになる可能性が少なくなる。
遺留分を侵害しない遺言書を作成する事で、争いの種を一つ減らす事が出来ます。

② デメリット

・遺留分を計算する必要がある。
・遺言作成時に遺留分を計算したとしても、その後に資産の増減により、再度遺留分を計算しなおす必要が出てくる。
・遺留分として現金・預金を用意出来ない場合、別途生命保険等で対策を行う必要がある。

つまり、遺留分に配慮した遺言の場合、相続人間の紛争を未然に防ぐ事が可能となりますが、その分手間がかかります。

3.遺留分を配慮しない遺言の場合

① メリット

・遺留分を計算しなくても良い。
・生命保険金等の遺留分対策を行わなくても良い。
・ご自分が本当に希望する形の遺言を残す事が出来る。

② デメリット

・遺産の中に現金・預金が無い場合、相続人が遺留分相当額の金銭を支払う事が難しくなる可能性がある。
・遺留分侵害額請求には時効があるが(遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使。又は相続開始の時から十年を経過した時)、相続人は遺留分侵害額請求をいつ行使されるか分からないストレスにさらされる。

つまり、遺言を残す方としてはご自分の意向にそった形になりますが、残された相続人にしてみれば、大変な状況になります。

3.まとめ

以上、メリット・デメリットをご紹介しましたが、結局のところは個別事情によると思います。

各家族間の関係性にもよると思いますし、遺産の中に豊富な現金・預金があるのであれば、遺留分に配慮しなくても良いかもしれません。

自宅等を絶対に特定の相続人に残したい場合や、絶対に相続人に迷惑をかけたくない場合は、遺留分に配慮すべきです。

遺言について、遺留分に配慮する、しないと言った論点は時には非常に悩ましい問題に発展する事があります。

どちらの遺言にするか、迷われた場合はお気軽に当事務所にお問い合わせ下さい。

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某球団マスコットの中の人の経験がある司法書士。
「相続対策は法律だけではなく、老後資金や感情も考慮しなくては意味がない!」がモットー。
2級FP技能士や心理カウンセラーの資格も取得し、多角的な相続対策に取り組む、「もめない相続の専門家」

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