相続で困らない為に、遺言とエンディングノートの違いとは?

こんにちは。横浜のもめない相続の専門家。司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

昨今、高齢者の方が相続に関連し、ご自身の気持ちを残そうとエンディングノートを作成する事が増えています。

書店やインターネットでも、エンディングノートのひな形が用意されており、高齢者の方でも簡単に作成できるのですが、一方、遺言と同じであると誤解されている事もあります。

今回は、エンディングノートと遺言について、その違いと、そもそも別に用意すべきか?使い分けた方が良いのか?と言ったお話をしていきたいと思います。

1.エンディングノート

① エンディングノートとは?

エンディングノートとは、ご自身が亡くなられた時や、認知症で判断能力・意思能力が低下した場合にどのような事をしてほしいか、といったご自身が希望する内容を記すものです。

主にノート状になっている場合が多い為、エンディング『ノート』と呼ばれています。

法律上の制度では無いのですが、エンディングノートを書いておく事で、残された家族が安心してあなたの希望する事を実現する事ができる為、昨今様々なメディアで取り上げられています。

② エンディングノートに記載する内容

特に法律上の制限はありません。ご自身がご家族にしてほしい内容を記載すれば大丈夫です。具体的には、

⑴ ご自身の氏名、住所、本籍地、生年月日
⑵ どのような財産があるのか。預貯金や不動産、株式等の有価証券です。
⑶ どのような負債があるのか。借金やクレジットカードの事です。負債が多いようであれば、ご家族の方に相続放棄を勧めるのも良いかもしれません。
⑷ 加入している年金や保険の事
⑸ 携帯電話・パソコンの事。SMSやショッピングサイトのログイン情報等です。アカウント情報をどのようにして欲しいのかを記載します。
⑹ 葬儀に関する希望。どのような葬儀にしてほしいのか、どなたを葬儀に呼んでほしいのかを記載すると、ご家族の方は安心されると思います。
⑺ 友人関係
⑻ 病気になった際に延命措置を望むか望まないか

等、代表的なものを挙げてみましたが、これ以外にも皆様が希望する事を記載しても大丈夫です。

③ エンディングノートの注意点

エンディングノートは法律上の制度ではない為、拘束力はありません。その為、あなたが「こうして欲しい」と記載していも、実際にはその通りにはならない事があります。

しかしながら、ご家族にとっては一つの判断基準になりますので、その点では非常に有益なものになります。

2.遺言

① 遺言とは?

遺言はエンディングノートと同様、ご自身の意思表示を残す物です。

しかし、あくまで特定の法律上の効果を発生させる目的の為のものであり、その点で言えば、エンディングノートとは全くの別物になります。

② 遺言で出来る事

⑴ 遺産(相続財産)に関する事

ご自分の財産を誰に渡すか(相続させるか)、と言った内容です。

遺言と言えば、まさにこの「自分の財産を引き継ぐ者を決める」と言う目的が一番強いでしょう。

⑵ 遺言執行者に関する事

どんなにご自分の財産を引き継ぐ者を遺言で決めても、その内容が実行されなくては意味がありません。

その為、遺言の内容を実行する「遺言執行者」を遺言で定める事が出来ます。

⑶ 認知・相続人の廃除、廃除の取消し

いわゆる「身分行為」と言われるものです。

婚姻外の子供を認知して自分の子供とする事や、相続人としての地位を失わせる廃除、廃除の取消しが遺言で行う事が出来ます。

⑷ 未成年後見人、未成年後見人監督人の指定

相続人の中に未成年者がいて、かつ親権を行う者がいなくなってしまう場合、未成年後見人の指定が遺言で出来ます。

③ 遺言の注意点

遺言は法律上、出来る事が決められており、それ以外の事を書いても効力はありません。

さらにその作成方法も法律上厳格に決めれていますので、その法律のルールに従って正確・厳格に作成する必要があります。

3.エンディングノートと遺言の違い

遺言、エンディングノート共に、将来の為に意思表示する事を目的としているのですが、それぞれ大きな違いがあります。

① 法律上の規制

エンディングノートは法律上の制度ではありませんので、どのような事をどのように書いても自由です。

しかし、遺言は出来る事が法律上決められており、またその作成方法も厳格に定められています。

② 開示される時期

エンディングノートは将来体調が悪くなった場合の入院先の指定や、延命措置を希望するかしないかを記載している場合がありますので、生前にご家族の方に開示する事もあると思います。

しかし、遺言は基本的に遺言者が亡くなった後にご家族に開示されるものです。

③ 法律上の拘束力

エンディングノートは法律上の制度ではありませんので、法的拘束力はありません。

しかし遺言は、法律上の制度であり、法律上有効な遺言であれば、遺言に書かれた遺言者の意思が優先されますので、被相続人は原則その意思に従う必要があります。

4.まとめ -エンディングノートと遺言は使い分けた方が良い-

このように、遺言とエンディングノートはその目的が全く異なるものです。

しかし、中には遺言とエンディングノートをごちゃまぜにされている方がいらっしゃいます。

さらに、遺言とエンディングノートで、同じ遺産について相続させる人間を別にしていたり等、その有効性を巡って後々相続人間でトラブルになっている事例も見受けられます。

その為、遺言とエンディングノートは絶対に使い分けるようにしましょう。

少なくともエンディングノートには、ご自分の財産を誰に相続されるか?と言った内容は混乱の元になりますので、書かないようにして下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、法律手続・老後の資金・家族の感情面等、様々な視点から考え、遺言・任意後見・家族信託等の方法を駆使し、もめない相続対策・認知症対策を実現させる専門家。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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