なぜ不動産登記を行う必要があるのか?

不動産登記

【事例】
Q:私は来月、念願だったマイホームを購入する事になりました。

その時に不動産会社から「不動産の名義変更に必要な司法書士は、当社で用意します」と言われました。

しかし、良く調べてみると、不動産を購入した際にその名義変更を行う事を義務付けられた法律は無い事を知りました。

法律上の義務が無いのに、どうして名義変更(登記)を行わなくてはいけないのでしょうか?

A:最大の理由は、その不動産の所有者である事を他の第三者に対抗する為に登記を行う必要があるからです。

1.不動産登記とは?

不動産登記とは、不動産(土地・建物)の物理的状況と権利関係を公示する(公にする)為に作られた登記簿に記録する事です。

昔は登記簿と言えばその文言通り帳簿だったのですが、現在はコンピューター・システム化されており、登記はこの磁気ディスクにデータで記録する事を指します。

物理的状況が登記された部分が「表題部」、権利関係が登記された部分を「権利部」と呼ばれており、それぞれ登記される内容が違います。

【登記される内容】
表題部・・・不動産の所在、地番、地目(不動産の現況)、地積(不動産の面積)・・・等。
権利部・・・その不動産の所有者や担保権者・・・等。

2.不動産登記を行う事は義務か?

実は、物理的状況が登記される「表題部」に関しましては登記を行う義務が発生するのですが、「権利部」に関しましては、登記を行う事は義務付けられていません。

意外かもしれませんが、法律上は権利部については登記を行うか行わないかは、個人の自由になっているのです。

だったら、別に登記しなくても良いので?(司法書士に支払う報酬もあるので・・・)と思われる方もいらっしゃるのですが、不動産取引の実務では、登記を行う事が当たり前になっています。

3.不動産登記を行わないと・・・?

実は、不動産登記を行わなかった場合、その権利を第三者に対抗する事ができません(民法第177条)。

これはどう意味なのか?具体例で説明します。

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BさんはAさんから土地を購入しました。残金の決済が終わり、後は登記を行うだけだったのですが、実はAさんは、数時間前に同じ土地をCさんにも売却し、Cさんは登記申請を行っていたのです。

この結果、先にCさんに登記されたBさんは、その所有権をCさんに対して対抗する事ができません。これが不動産登記の対抗力です。

土地を取得できなかったBさんは、Aさんに対し損害賠償請求はできますが、Cさんについては何も行う事ができません。

こんな事が実際に起こり得るのかと思われるかもしれませんが、現実に発生しているのです。

お金に困ったAさんは、BさんとCさんの両方から売買代金を授受しどこかへ逃亡する、といった流れです。

また、住宅ローンを利用した際の抵当権も同様です。

融資を実行したけども抵当権設定の登記を行わなかった場合、その後に登記された抵当権に対抗する事ができません。

万が一その不動産が競売されたとしても、登記をしておかないと債権を優先的に回収する事はできません。

その他、決済当時に市税滞納による差押えの登記がなされた、と言う事案にたまに遭遇します。

この事案も対抗力の問題となりますので、実務上は決済の延期を行う事になります。

4.まとめ

以上、自己の権利を第三者にきちんと対抗する事が、法律上義務付けられていなくても実務上登記が当たり前とされる理由になります。

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この記事を書いた専門家

横浜市泉区の司法書士です。法律・老後資金・感情等多角的な視点から、自分らしい人生を送る為の認知症対策、相続対策をご提案します。元俳優/福岡県北九州市出身/梅ヶ枝餅、かしわめし弁当が大好き/趣味は講談/

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横浜相続困りごと相談室(司法書士甲斐智也事務所)
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