不動産取引における司法書士の仕事

こんにちは。横浜市泉区の司法書士の甲斐です。今回の記事は、不動産取引における司法書士の仕事について、実際にどんな事をしているのかを詳しく解説していきたいと思います。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

不動産取引の残金決済時に「司法書士」と名乗る人物が現れて、不動産の名義変更に必要だからと説明をパッパとされて、何だか良く分からない書類に署名、押印をした。その週間後に「不動産権利証」と書かれた表紙の、良く分からない冊子がその司法書士事務所から届く・・・と言うのが、不動産を購入された方の司法書士の印象なのではないでしょうか?

何だか簡単に書類の説明をして、署名押印させて、それで報酬を数十万とるなんて、ボロい商売だ、と考える人も中にはいるかも知れません。

不動産取引において、司法書士が売主、買主に接する時間はごくわずかなので、司法書士が実際にどんな仕事をしているのかが良く分からないのは無理がありません。

その為今回は、司法書士が、不動産取引の現場でどのような仕事をしているのか、その裏側を解説していきたいと思います。状況によっては違う部分があるかと思いますが、概ね流れは下記のとおりになります。

 

1.見積もり、必要書類の連絡

売主買主間で不動産の売買契約が成立した後、ほとんどの場合、不動産会社から司法書士に対して登記費用の見積もり依頼と、登記に必要な書類の案内を求められます。

司法書士は売買契約書、登記事項証明書、評価証明書をもとに、登記費用を算出して見積もりを提示します。不動産会社はその見積もりと必要書類を買主若しくは売主に提示します。

 

2.抹消書類の確認

売却対象不動産に抵当権等の担保権の設定登記がされている場合、買主に売却する為にはこの抵当権の登記を抹消する必要があります(通常、売買契約書に『担保権を抹消し、完全に所有権を行使出来る状態にして引き渡す』等の文言が入っています)。

その為、司法書士は抵当権が設定されている金融機関に連絡を行い、抵当権の抹消登記に必要な書類が揃っているか、内容に間違いが無いかを事前に確認します。なお、書類を実際に預かる事が出来るのは、決済が終わった後になるのが一般的です(債務を完済していないのに、抵当権が抹消出来る書類を渡すのはリスクがありますので)。

ほとんどの場合は問題は無いのですが、ごくまれに書類の不備等がありますので、司法書士にとっては気の抜けない仕事になります。

 

3.抵当権設定登記書類の確認

買主が住宅ローン等を利用する場合、購入する不動産に抵当権を設定するのが一般的です。この場合、司法書士は融資を行う金融機関に事前に連絡を取り、抵当権設定登記の書類を確認します。ほとんどの場合、書類は事前に預かる事が出来ます。

なお、この場合も基本的には書類に問題は無いのですが、やはりごくまれに書類の不備等がありますので、流れ作業で出来ない仕事になります(実際に私も数回書類の不備を金融機関に訂正してもらった事があります)。

 

4.登記申請の準備

決済終了後速やかに登記申請を行う事が出来るように、事前に登記申請書とその他必要な書類を作成します(オンライン申請をする場合、登記申請のデータを作成します)。

 

5.決済当日

残金決済の当日、登記事項に変更が無いか確認し、決済場所に向かいます。その後、売主、買主の本人確認、意思確認を行い、登記に必要な書類の説明、署名押印をして頂き、金融機関に融資の実行を依頼します。

融資が実行されると、事前に記入していた振込伝票のとおりに、買主の口座に融資金額が振り込まれ、その後売主の口座に売買代金残金が振り込まれ、売主から抵当権が現在設定されている金融機関に債務が弁済されます。

その他、買主の口座から引き出された現金を仲介手数料、司法書士報酬等に振り分けて、決済が終了です。

 

6.抵当権を抹消する為の書類の受領

決済終了後、現在設定されている抵当権を抹消する為の書類の受領の為に、金融機関に向かいます。金融機関への着金確認によっては時間がかかる場合がありますが、基本的には問題無く書類を受領出来ます。

 

7.管轄法務局へ登記申請

全ての準備が完了したら、管轄法務局へ登記申請を行います。特に問題が無ければ2~3週間ぐらいで登記が完了し、買主のもとに司法書士から不動産の権利証たる登記識別情報が届けられます。

 

8.まとめ

司法書士の仕事は「登記」ですが、この登記を行うまでに上記のような仕事があり、この仕事を間違い無く確実に行う事により、皆様の重要な財産である不動産の登記が完了するのです。

皆様と接する時間は数分間ですが、その舞台裏では、数千万円の取引に問題が無いように、様々な所に働きかけ、相当念入りな準備を行っているのです。