不動産を共有名義で相続したその後に気をつけるべき事

相続が発生し遺産分割協議を行う際、遺産に不動産が含まれていた場合、後々の事を考えて不動産は相続人のうちの誰かの単独所有する事が多いと思います。

これは不動産を共有名義にした場合、その後の管理や処分が大変になる事が理由として挙げられる為であり、その結果、相続に携わる法律家も不動産を単独で相続する事を強くお勧めしています。

しかし、どうしようも無い特別な事情によって不動産を共有名義で相続しなくてはいけない事情もあると思います。

そこでは今回は、共有名義で相続した不動産についての、その後の守らなくてはいけない法律上の様々なルールを解説したいと思います。

 

1.共有物に関する権限の制限

① 共有不動産の使用

Q:私は父から相続した土地の持分の3分の1を取得しています(他の持分は兄弟が取得)。

今度、私の友達が数名自宅に遊びに来る為、この土地に友達の車を駐車させてあげたいと思っているのですが、車の台数から考えると、土地の全部を使用しなくてはいけません。

持分しか持っていなければ、土地全部を使用する事は出来ないのでしょうか?

A:使用する事は可能です(民法第249条)。土地を共有で相続した場合であってもその土地の全部を使用する事は可能です。

なお、他の共有者にも持分がありますので、共有者の持分についての使用を排除するような共有財産の使用は、当然できません。

② 共有不動産の売却

Q:私は父から相続した土地の持分の3分の1を取得しているのですが、この土地の全部を他の共有者に内緒で売却したいと考えているのですが、それは可能でしょうか?

A:単独での売却はできません。共有物に変更を加える為には、他の共有者の同意が必要です(民法第251条)。

なお、ここで言う「変更」とは、売却等の処分や、土地に抵当権を設定する行為、大規模修繕(リフォーム)が該当します。

つまり、土地の全部を売却したい場合、共有者全員が売主となる必要があるのです。

実はここに、不動産を共有名義にした場合の問題点があるのです。

例えば共有者の内の一人が「売却したくない」と言ってしまえば、不動産を売却する事は不可能になります。

また、共有者の中に認知症の方がいた場合、簡単に不動産を売却する事が出来なくなります。

不動産の売却は法律上の効果を発生させる、「法律行為」です。

この法律行為を行う為には、売却の意思表示を行う必要があります。しかし、認知症者の場合、売却の意思表示が出来ない事があります。

また、不動産を売却するつもりがないにも関わらず、「売却する」と言いだすかもしれません。

その為、認知症者が不動産を売却したい場合、後見制度を利用して、家庭裁判所から成年後見人を選任してもらう必要があります。

さらに、成年後見人は不動産の売却が終了すればその役目を終えるわけではありません。

認知症の方(成年被後見人)が亡くなるまで、その仕事は続き、成年後見人が弁護士や司法書士と言った専門職の場合、その間の費用が発生します。

このように、不動産の共有者が認知症等になった場合、様々な労力が発生するのです。

③ 共有不動産を第三者に賃貸

Q:私達三人の兄弟は父から相続した土地を共有で所有しています(持分はそれぞれ3分の1)。

この度、この土地を第三者に賃貸する事になったので、その契約を行うのですが、契約は私一人が行っても問題無いでしょうか?

A:この場合、もう一人の共有者の関与が必要です。共有物を第三者に賃貸する行為は管理行為に該当し、この管理行為は各共有者の持分の過半数で行う事が必要です(民法252条)。

今回の場合は、それぞれ持分が3分の1ですから、単独での契約を行う事は出来ません。

※他の共有者から賃貸借契約に関する代理権を与えられていれば、単独での契約は可能です。

④ 共有不動産に関する裁判

Q:私達兄弟は父から相続した土地を共有で所有していますが、最近この土地に見知らぬ自動車が不法に駐車されており困っています。

この自動車の撤去の為、裁判を起こそうと考えているのですが、私一人でも裁判は可能でしょうか?

A:可能です。上記のような裁判は共有物の現状を維持する為の行為ですので、共有物に関する保存行為となり、単独で行う事が可能です(民法第252条ただし書き)。

 

 

2.共有状態を解消したい場合

① 単独名義にする ー持分の売却、贈与ー

他の共有者に対してその持分を売却、贈与する事により共有状態を解消し、単独名義とする事ができます。

お互いの合意が形成されれば、単独名義にする手続きはスムーズに行う事ができます。

② 共有物の分割請求

共有物を分割して、分割後のモノを各共有者の単独名義とする事が出来る制度が共有物の分割請求です。

各共有者は、いつでも共有物の分割を請求する事が出来ます。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をする事も出来ます(民法第256条)

③ 裁判による共有物の分割

共有物の分割について、共有者間で協議が調わない時は、その分割を裁判所に請求する事ができます。

なお、共有物を分割出来ない場合(家屋等)、分割によってその価値を著しく減少させるおそれがある場合は、裁判所は共有物の競売を命ずる事ができます(民法第258条)。

 

3.共有不動産に関する負担

各共有者は、その持分に応じ、共有物に関する費用(不動産であれば固定資産税等)の負担を負います。

なお、共有者の一人が1年以内にその負担をしない時は、他の共有者は相当の対価を支払って、その共有者の持分を取得する事が出来ます(民法第253条)。

 

4.まとめ

上記のとおり法律上、共有不動産(共有物)につきましては様々なルールが規定されており、単独で所有するよりもそのモノの使い勝手が悪くなります。

どうしても共有状態にしなくてはいけない事情がある場合を除き、財産は単独での取得をお勧めします。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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