法定相続分は絶対なのか?

こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

今回の記事は、法定相続分についてのトラブル事例をご紹介します。

法定相続分を主張した結果、親族間が険悪な状態になってしまった例です。

【事例】
木村良一さん(仮名)のお父さんが亡くなりました。

相続人は良一さんと姉の静子さんの二人です。

四十九日も無事に終わり、良一さんは静子さんと遺産分割協議を行っていました。

静子さんはお父さんの近くに住んでおり、ほぼ毎日お父さんを訪ねては掃除・洗濯・買い物等、色々とお父さんの世話をしていたようです。

お父さんは亡くなる直前、末期のガンで入院していたのですが、静子さんがほぼ毎日病院にお見舞いに行って、色々な世話をしていたようです。

良一さんはその事を知っていました。

自分がお父さんをあまり面倒をみる事が出来ず、静子さんにその負担を押し付けた事もあったので、お父さんの遺産をほとんど静子さんに渡そうと考えていました。

静子さんも最初は遺産を多く貰う事に難色を示していたのですが、良一さんに説得をされ、最後は納得をしました。

このように、遺産分割協議は問題なくまとまって一安心、と良一さんは思っていたのですが、そこに待ったをかけたのが、良一さんの奥さん、典子さんだったのです。

「・・・と言うわけで、親父の遺産の大部分は姉貴にあげようと思うんだ。それでいいだろう?親父の世話はほとんど姉貴がやっていたのだから」

「・・・確かに、お義姉さんがお義父さんの世話をみていたのは認めるわ。でも、それとこれは話しは別でしょ?あなたには法定相続分があるんだから、その分はきっちりと貰わないとダメでしょう?」

「いや、でも姉貴はほぼ毎日親父の面倒をみていたんだぞ?それなのに俺が法定相続分をもらうのはおかしいんじゃないか?」

「おかしいも何も、法律で認められている権利でしょう!それに、たまたまお義父さんの近くに住んでいただけじゃない?それだけなのに法律上認められている権利が無いってのはおかしいでしょう!ウチだって生活が苦しいの!もう一度、お義姉さんと話しをしてきて頂戴!!」

その後、良一さんは静子さんと再度話し合おうとしたのですが、その事で静子さんは激怒、最終的には遺産分割審判まで行ってしまい、姉弟間の仲が修復される事はありませんでした。

1.法定相続分とは?

法定相続分とは、各相続人に認められた相続割合です。具体的には下記のとおりです(民法第900条)

・配偶者と子ども(子どもいない場合は孫)が相続人の場合・・・・各2分の1
・配偶者と父母等が相続人の場合・・・・配偶者は3分の2、父母等は3分の1
・配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合・・・配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1

なお、子ども、父母等、兄弟姉妹が複数いる場合は、各相続分は等しくなります(兄弟姉妹の場合、例外があります)。

このように、民法では相続人の相続分は決められています。

もちろん、相続人全員が合意すれば、法定相続分とは異なる遺産分割協議を行っても良いのです。

つまり、事例のように相続人の一方が、被相続人の世話を日常的に行っていたから、その相続分を多くする、と言う遺産分割協議は全く問題はありません。

ただし、このような遺産分割協議を行った場合、異議をとなえてくる人が必ずいます。それが相続人の配偶者です。

2.相続人の配偶者が相続に口を出す理由

実際に事例のような事は良くあります。

家族は長い年月をかけてお互いに考えている事、大事にしている事等を理解します。

その為、相続の場合でも「親父だったらきっとこうするよな」と言った内容の遺産分割協議が、家族間で共有出来るのです。

その為、きちんとコミュニケーションをとっている家族であれば、相続でもめる事は少ないです。

しかし、相続人の配偶者はどうでしょうか?

言葉は不適切なのかもしれませんが、相続人の配偶者は、小さな頃から一緒にいるわけではなく、家族の中に突然入ってきた登場人物です。

その為、家族間で共通認識されている「阿吽の呼吸」が通用しません。

その為、「権利があるのだからなぜ主張しないのか?」と疑問に持つ事はある意味当然ですし、その事を責めても全くの無意味なのです。

法律上認められている権利を主張しているのにすぎないからです。

3.法定相続分は絶対なのか?

とは言っても、事例のような場合、相続人の立場だときっと困ってしまうでしょう。

「ウチの家庭の事なんだから、口を出すんじゃない!」と一喝したところで、夫婦間の仲が悪くなるだけです。

ではどうすれば良いのか?実は民法にはこのような条文もあります。

(遺産の分割の基準)
第906条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。

確かに、法定相続分という権利はあるのですが、それと同時に遺産分割は「各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、個別具体的に公平になるように」と規定されているのです。

この条文から考えれば、事例のような遺産分割協議も説得力がありますし、相続人の配偶者の方も理解はしやすいのではないでしょうか?

4.まとめ

相続に関する情報が溢れてくると、それと同人に法定相続分と言う権利が一人歩きしてしまう事があります。

しかし、あくまで遺産分割は、

「遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」

と言うのが大原則になりますし、この条文の趣旨を十分に考慮し、法定相続分に固執しない事こそが、もめない相続の為の大きなポイントになります。

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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