法定相続分が不公平な理由

こんにちは。横浜・泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、法定相続分の不公平さ、その不公平を解消する為の方法について解説していきます。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

被相続人が亡くなり相続が開始されると、様々な相続手続きを行う事になるのですが、その中で一番問題になる「遺産分割協議」があります。基本的に相続財産は相続人全員が同意すればどのように分けれても良いのですが、法律上、一応法定相続分と言うのが規定されています。

・相続人が配偶者と子どもの場合
 →それぞれ2分の1の割合(子どもが複数いる場合は、2分の1を子どもの人数で割る)

・相続人が配偶者と被相続人の両親といった上の世代の場合
 →配偶者3分の2、両親3分の1

・相続人が配偶者と被相続人の兄弟姉妹の場合
 →配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

法律で規定されていると言う事は、被相続人の遺言が無い限り、各相続人は相続において法定相続分の権利はあると言う事です。この事は一見相続人にとって公平な印象を受けるのですが、実際は法定相続分は相続人にとって不公平を生んでいる事の方が多いのです。

 

1.法定相続分が不公平な理由

① 介護をした相続人が報われない

相続人の内の一人が、被相続人の介護を長年行っていたとします。他の相続人は一切介護をしたがらなかったので、その相続人が仕方が無く自分を犠牲にして何十年も介護をしていました。

この場合、介護をしていた相続人の相続分は増えるのでしょうか?正解は、「増えません」。どんなに自分を犠牲にして被相続人を献身的に介護をしていても、その相続分は増えないのです。

一応、寄与分という制度はありますが、家庭裁判所で寄与分を認めてもらうには、非常に苦労を要します。

② 相続人が長年扶養されていても考慮されない

昨今「ニート」「引きこもり」等が社会問題になっていますが、相続人が何らかの事情により働いておらず、被相続人より長年扶養されていたとします。その相続人はいわゆる「親の金を食いつぶしている」状態です。

ではこの場合、扶養されていた相続人の相続分は減るのでしょうか?正解は、「減りません」。どんなに被相続人から扶養されていたとしても、この相続人は法定相続分の権利があります。きちんと真面目に働いていた他の相続人にしてみれば、たまったものではないと思います。

③ 生前贈与は主張する側が立証の責任を負う

被相続人から自宅購入の為の贈与等、相続財産の前渡しとみなされるような贈与(特別受益)を受けた相続人は、遺産分割においてその特別受益が考慮される事になりますが、その特別受益を主張、立証する責任があるのは、あくまで他の相続人です。その為、その特別受益がいくらなのか?そもそも本当に特別受益があったのか?と言った事が証明出来なければ、特別受益を考慮する事が出来ません。

 

2.オーダーメイドの遺産分割を行う必要性

上記のように、法定相続分で分けようとすると、実は様々な不公平さが生じます。相続、遺産分割協議が各相続人にとって本当の意味で公平になる為には、そのご家庭の様々な事情を考慮する必要があります。その為、各相続人が本当の意味で公平になるようにする為には、法定相続分にこだわらず様々な事情を考慮した、オーダーメイドの遺産分割を行う必要があります。

 

3.まとめ -遺言の活用を-

各相続人が納得出来る、遺産分割の為に事前に出来る事は遺言を作成する事です。各家庭のご事情を一番知っているのは、被相続人となる方です。その為、残されるご家族の方が無駄な遺産争いを行わなくてすむように、今からしっかりと相続対策を考えていきましょう。

当事務所では遺言や相続対策のご相談を承っております。遺言等の事でお困り、お悩みの場合はお気軽にお問い合わせ下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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