相続・法律相談専門ポータルサイトに質問すべきか?

相続一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

以前、『Yahoo!知恵袋に相続の事を質問すべきか?』と言うお話をさせて頂きました。

町田・横浜FP司法書士事務所
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Yahoo!知恵袋等の質問サイトは手軽に質問できると言う良い面がありますが、回答者が専門家ではない可能性が高く、回答の信頼性に欠ける悪い部分もあります。

その為、相続等の重大な法律関係の質問はされない方が良いと言う趣旨のお話しをさせて頂きました。

ところで、相続やその他の法律問題について質問をする事ができるサイトはYahoo!知恵袋だけではありません。

弁護士、司法書士、行政書士、税理士等が登録していて、一般の方が質問をする事ができる専門サイトも沢山あります。

では、きちんと弁護士等が登録しているサイトであれば、相続の質問をしても良いのでは?と言う疑問が生じるかもしれませんね。

本日はこの相続・法律相談専門ポータルサイトに相続やその他法律問題の事を質問すべきか?と言うテーマでお話したいと思います。

結論から先に申し上げますと、相続やその他法律問題について質問をしても良いのですが、その回答を100%信用するのではなく、きちんと回答の根拠も確認する事が必要になってきます。

1.専門家の回答の根拠まできちんと確認しなくてはいけない理由

Yahoo!知恵袋等、一般の方が匿名で回答できるサイトに比べて、弁護士等の専門家が回答するサイトは信頼性が高く、利用者にとってはメリットが高いように思えますが、実は問題点も存在します。

それは、各専門家は回答に対して責任を負っているわけではなく、また細かい事情を相談者の方からヒアリングを行っているわけでもありません。

その為、事務所等で行う1対1の方式の面談とくらべ、根拠に乏しい回答を行わざるを得ない状況も存在する、と言う問題点も存在します。

「いや、専門家なんだから、こっちは信頼しているんだから、そんな適当な回答をされても困る」

と思われるかもしれませんが、実際に専門家が回答するサイトを見てみますと、「その回答の根拠は一体何?」と眉をひそめてしまう回答も存在します。

専門家側もボランティアで行っている関係上、きちんとした根拠を調べる時間を取る事ができない、と言うのが理由の一つだと思われます。

2.専門家サイトで実際にあった回答例

以下、専門家サイトに記載されていた、根拠に乏しい、不適切な回答例をご紹介していきます(事例は一部変更をしています)。

① 遠方の不動産の相続登記について

(質問)
私は横浜に住んでいるのですが、父の実家の新潟の土地を相続する事になりました。この場合、相続手続きを横浜の司法書士にお願いすべきなのでしょうか?それとも新潟の司法書士にお願いすべきなのでしょうか?

(ある司法書士の回答)
新潟に知り合いの司法書士がいる、横浜の司法書士が良いと思います。

(私の解説)
不動産の相続手続き(いわゆる相続登記)は、特殊な事情がないかぎり現地を見る必要がなく、また登記申請も郵送や専用のシステムを使ってできますので、全国どこからでも対応する事は可能です。

その為、横浜にお住まいであれば、横浜のお近くの司法書士に依頼されるだけで大丈夫です。

ところが、相談者の方はある司法書士に上記のような回答をされ、本当に新潟に知り合いの司法書士がいる、横浜の司法書士を探しているようです。
 
しかし、全国に人脈がある司法書士はごく少数派であり、新潟に知り合いの司法書士がいる横浜の司法書士を探す事は、一般の方にとってみれば非常に困難を伴うでしょう。

これは明確な根拠を提示しないまま不適切な回答を行い、依頼者に本来必要のない労力をかけてしまった典型的な例です。

② 慰謝料について

(質問)
とある人に私が大切にしていた3万円のネックレスを壊されて、ネックレスが使い物にならなくなりました。

相手に損害を賠償してほしいと思っているのですが、どれくらいの金額を相手から取る事ができるでしょうか?

(ある弁護士の回答)
ご質問のケースであれば、20万円ぐらいは請求できるでしょう。

(私の解説)
この質問に対する回答を見て、どうして金額にこのような差が生まれるのか?と疑問に思われた方、非常に鋭い感覚の持ち主です。

おそらく回答した弁護士は慰謝料(精神的な損害)を合わせた合計額を請求できると回答しているのです。

最近はTVで裁判をテーマにした番組も増えており、慰謝料と言う言葉もメジャーになっているのですが、実は注意点があります。

それは、慰謝料はどんな場合でも認められるとは限らないと言う事です

例えば、身体とか名誉に対する損害については慰謝料が認められるケースはあります。

交通事故等で身体に重大な損傷を生じた場合や不倫等では認められる事もあります。

しかし、事例のようないわゆる「物」に対する損害の場合、物の価値が回復できれば損害が回復される、と考えるのが一般的です。

つまり、損害賠償として3万円以上を請求するのは非常に困難だと思われます。

(裁判になれば実際は細かい判断がされると思うのですが、ここでは分かりやすく記載させて頂きました。)

③ 非弁行為?

(質問)
私は夫と離婚を考えています。先日、離婚カウンセラーの方に色々と相談にのっていただいたのですが、夫から、「離婚は弁護士しか行えない業務であり、離婚カウンセラーが行っている事は違法行為だ!訴えてやる!」と言われました。

離婚の事を相談する事ができるのは本当に弁護士だけなのでしょうか?この離婚カウンセラーの方が行ってくれた事は違法行為になるのでしょうか?

(とある弁護士の回答)
離婚について相談を行う事ができるのは弁護士だけです。

その離婚カウンセラーはいわゆる非弁行為を行っている可能性があります。

(私の見解)
実際に離婚カウンセラーと言う民間資格は存在しており、離婚問題を抱えている方の相談に応じているのですが、離婚カウンセラーが行っているのはあくまで心のケアであり、法律問題に対する相談は行っておりません。

確かに、こっそりと離婚に関する法律問題について相談に応じている離婚カウンセラーもいるかもしれないのですが、全員が違法行為を行っているわけではありません。

それなのに細かい具体的な事情を確認せず、「離婚カウンセラーが離婚について相談を受けている」と言う事実だけをもって非弁行為だ!違法行為だ!と主張するのは早まった考えでしょう。

3.まとめ 

私の事務所に訪れる相談者の方も、他事務所や市役所の無料相談を利用して、

「弁護士の○○先生はこう言っていた」

「司法書士の○○先生はこう言っていた」

と良く質問されるのですが、その回答が正しくない事と、正しくない客観的な根拠を説明しても、なかなかご理解頂けない事があります。

これは人間の脳が一番最初に聞いた事が絶対であり、後からそれを否定する事実を聞いても脳の情報を書き換える事が難しい為だと思います。

この脳の凝り固まった考え方を変化させる為には、「誰が言ったか」ではなく、「何を言ったのか?」に意識を集中する必要があります。

「何を言ったのか?」にきちんと注意していれば、その根拠についても質問すると言う考えになるでしょう。

相続や法律問題は判断を誤りますと、今後の人生に大きな影響を与える可能性が出てきます。

あなたの人生を守る為、専門家に相談する時は、回答に対する根拠もしっかりと聞くようにしましょう。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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