相続人ではない第三者が出てくると、もめる相続になりがちになる理由

相続トラブル事例

こんにちは。司法書士の甲斐です。

相続人ではない、相続では全く関係がない第三者が登場する事により、もめる相続に発展する事が良くあります。

相続人ではない第三者とは、例えば相続人の配偶者とか、相続人の子供とか、近所の自称法律に詳しいおじさんとか・・・。

本来であれば相続人ではない第三者は相続人でありませんので、相続に関して口を出す権利はありません。

しかし、彼ら(彼女ら)は、相続人に多少なりとも影響を与える事が出来る人物なのです。

その為、相続人間ではまったくもめる要素がなかったにも関わらず、彼ら(彼女ら)が登場する事で一転、強引にお互いの権利を主張しあう「争続」へと突き進んでいくのです。

この問題を解決する方法はただ一つ、相続の話し合いの場に彼ら(彼女ら)を呼ばない事です。

相続の話し合いはあくまで相続人だけで行う事がベストです。

とは言え、それは現実的には中々難しく、大変な苦労をされている方も中にはいらっしゃると思います。

そこで今回は、相続人ではない第三者が登場する事でもめる相続になる根本的な理由と、相続人ではない第三者が登場しても、相続の話し合いを円滑に進める方法をお話したいと思います。

1.相続人ではない第三者は良くも悪くも「ドライ」

相続人間は子供の時からの長い人間関係の中で、色々な経験や感情を共有している事があり、時には何も言わなくても分かり合える事もあるでしょう。

しかし、相続人ではない第三者は、相続人間にある繋がりが基本的にありません。

その為、良くも悪くも相続においては「ドライ」なのです。

例えば、相続人が長男と次男の二人の場合を考えてみましょう。

次男は最近リストラにあって金銭的に困っています。その事は長男も知っています。

そんな中で相続が発生した場合、長男の立場であれば、「次男に多めに相続させたい」と思い、実際に次男にそう伝えるかもしれません。

当然次男は喜びますよね。これで普通は相続は円満に終わるはずです。

しかし、そんな事は関係がない人物がいます。そう、長男の配偶者である妻です。

妻は長男次男間の子供時代を知りません。

子供時代からどのような繋がりがあったのかを知りません。

その為、「法律上の権利で相続分が2分の1主張できるのだから、なぜそれを主張しないの!ウチだって子供が3人いて厳しいんだから!!」と長男に詰め寄ります。

妻に散々文句を言われた長男は、しぶしぶ次男に「やっぱり2分の1で・・・」と言ってしまえば、そこからはもめる相続に発展します。

妻としては、法律上何も悪い事は言っていません。

法律上正当な権利を主張しなさい!と言っただけですから。

しかし、世の中は法律だけで出来ているわけではありません。

相続は時には法律以外の事も考える必要があるのです。

その認識のズレが、相続人と相続人ではない者の中にあるのです。

2.相続人側に自分で考える力がないから

少し厳しいお話しをさせて頂きます。

相続人ではない第三者の登場によって、もめる相続になる原因は、相続人にもあります。

つまり、相続人が相続人ではない第三者に依存してしまい、自分では何も考える事ができない事が、もめる相続の原因になるのです。

今回も具体的な事例でお話してみましょう。

相続人は被相続人の姉妹です。長女が亡くなり、その相続人は次女と三女と言う状況です。

次女には子供はいませんが、三女には子供がいます。

被相続人が高齢で亡くなった場合、相続人が被相続人の兄弟姉妹であれば、通常、相続人も高齢でしょう。

認知症ではなくても、ご自分で考えたり、判断する事がおっくうになっている事もあるでしょう。

そのような時に、相続人の子供が他の相続人と話し合うと言う事は良くある事です。

親にとっても非常に心強いでしょう。

自分の子供が相続の色々な事を一生懸命にやってくれるのですから。

しかし、ここに落とし穴があります。

子供の事を信用するあまり、子供が例え問題があるような行動、発言をしても何ら疑問に思う事なく、子供が全て正しいと考えてしまう可能性が出てきます。

子供は子供ですから、親の利益の事を考えて他の相続人と接するでしょう。

時には他の相続人にとって理不尽な要求を子供は行うかも知れません。

しかし、相続人である親の方が何ら疑問に思わず、「子供が言っている事だから正しい事なんでしょう」と考える事を放棄してしまうと、ご自分が知らない所でもめる相続に発展し、収拾がつかなくなる事もあるのです。

3.相続人ではない第三者に惑わされず、もめない相続にする方法

① 協力者を見つけて、相続人だけで話し合う

相続人ではない人は、その相続について何らの権利も持っていません。

彼ら(彼女ら)が何を言っても無意味であり、逆に話が混乱する可能性があります。

その為、彼ら(彼女ら)が信頼している、と親しい人に協力してもらい、彼ら(彼女ら)に説得を試みてもらい、遺産分割協議は相続人だけで行うようにして下さい。

遺産分割協議は法定相続分と言うベースはありますが、被相続人と相続人との間の全ての事情を考慮する必要があります。

その全ての事情を把握しているのは、相続人だけなのですから。

② 専門家にも必ず相談する

とは言え、相続人が高齢であり、相続の話し合いを自分の子供にも手伝ってもらいたい、話し合いに立ち会ってもらいたいと言う事もあるでしょう。

そのような時は、必ず専門家にも相談するようにして下さい。

法律的な事はもちろん、法律以外の言動や行動について、あなたの子供は他の相続人に不公平な取扱いをしている事だってあります。

それは、子供を信じる信じないと言う話とは別次元のお話です。

他の相続人、があなたの子供の不公平な言動、行動について我慢をしている可能性だってあります。

様々な角度から、今行っている事について問題はないかと言う点は検討すべきです。

4.まとめ

人は自分の中に「正しさ」の物差しを持っています。

それは相続でも同様で、相続人それぞれが「相続ではこの様にする事が正しい」と言う基準があります。

しかし、相続人ではない第三者は当事者ではない存在であるが故、その「正しさ」が極端に客観的になったり、極端に偏りがちになります。

彼ら彼女らのその意見は尊重もしつつも、相続の話しはあくまで相続人で責任を持って解決するようにしましょう。

文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
(詳細なプロフィールは名前をクリック)

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