
こんにちは。司法書士の甲斐です。
相続コンサルタント。
特に決まった定義はないのですが、相続に関するコンサルタント業務を行っている人の総称です。
(ちなみに、「相続コンサルタント」言う民間資格があるようです。)
昨今、様々な士業や企業が相続の分野に進出しており、「相続コンサルタント業務」を行っています。
しかし、その実態はコンサルタントとは程遠い、行き当たりばったりな提案を行う者も少なくありません。
そもそも、「コンサルタント業務」とは、一体どのような事を指すのでしょうか?
今回はそのコンサルタント業務をテーマにしてお話ししたいと思います。
1.問題とは理想と現実のギャップ
コンサルタントの仕事とは何なのか?ざっくりと言えば、
「顧客が抱えている問題点を明らかにし、その問題に対する解決策を提示する」
事を職業としている人の事です。
イメージはしやすいと思うのですが、そもそも「問題」とはなんでしょうか?
コンサルにおける、「問題」の一般的な定義は下記のようになっています。
・自分の相続が発生した場合に、家族が一切もめないようにしたい。
現実
・家族間の仲が悪い。
・何を考えているか分からない家族がいる。
・息子がどこに住んでいるか分からない
→相続でもめるかもしれない。
このように理想と現実を並べてみますとギャップがあるのが分かりますよね?
このギャップが「問題」であり、コンサルタントはこのギャップを埋めるために、様々な知恵を絞るのです。
2.「5WHY分析」
それでは理想と現実のギャップである「問題」を解決するために、どのような方法を使うのか?と言うお話に移りましょう。
最初は5WHY分析です。
5WHY分析は、問題を引き起こしている原因について、
「その原因は何なのか?」
と言う疑問を何度も繰り返す事で、本質的な原因を突き詰める分析方法です。
トヨタ流の問題解決方法として有名ですので、ご存知の方も多いかもしれませんね。
例えば、次のように使います。
・二人には収入格差があるから。
・長男は勉強を頑張り一流企業へ就職できた。二男は親に対して反抗的で勉強をあまりしなかったから。
・長男に対する教育方法が成功したので、二男に関しても同じ教育方針をとった。それが二男には合わなかったから。
・それが長男、二男間で公平になると思ったから。
・長男と二男の性格はほとんど同じと思っていた。また当時は忙しく、二男としっかりと話す時間が無かったから。
ご相談者は二男の事を子供の頃から一人の人間として接していなかったようだ。
遺言を作成するのは当然として、今からでも二男を一人の人間として認め、接するように努めてはどうか?
3.「仮説思考」
さて、問題の原因を突き詰めたのですが、本当のコンサルタントはこの段階では
「原因は●●です。この原因を解決すれば問題は解決しますよ!」
とは絶対に言わないんです。
なぜなら、5WHY思考で突き詰めた原因は、あくまで「仮説」だからです。
そのため、その仮説が正しいのかどうかをきちんと確認する必要があります。
問題の原因そのものが間違っている場合、どんなに問題対策を考えたとしても、全く意味はありません。
司法書士でもこの考え方を見落とし、単なる仮説である事を事実であると誤認し、謝った相続対策を提案している者がいますので注意が必要です。
4.まとめ
コンサルタントの考え方はまだまだあるのですが、代表的なものを挙げてみました。
「コンサルタント」と名乗るのには制限はなく、資格も必要ありません。
だからこそ、「問題解決のための考え方」ができず、行き当たりばったりの提案を行っている「コンサルタントもどき」が沢山存在しているのも事実です。
あなたがもし「相続コンサルタント」と名乗る人物に相続対策を相談する必要が発生した場合、そのコンサルタントが、行き当たりばったりの提案ではなく、きちんと筋道を立てた提案をしているのかを、しっかりとチェックするようにしましょう。