遺産分割調停の具体的な内容

こんにちは。横浜市泉区の相続専門司法書士の甲斐です。今回の記事は、遺産分割調停に関し、具体的にどの様な事を話し合うかについて、知りたい方向けの記事です。(なおご紹介する事例は、良くあるご相談を参考にした創作です。)

相続人間で遺産分割協議を行っても協議が調わない、もしくは協議をする事が出来ない場合、遺産分割調停にて問題の解決を図る事になります。調停は所謂裁判とは異なり、あくまで当事者間の話し合いで進むのですが、それでも裁判所を利用する手続きです。一般の方にとってもみれば裁判所は滅多に来ない、身近ではない場所ですので、非常に緊張してしまうかも知れません。

今回は実際に遺産分割調停を利用される予定のある方の為に、遺産分割調停の中で話し合う具体的な内容を解説していきたいと思います。各地の家庭裁判所によって多少の違いがあるかもしれませんが、本質的な部分は同じであると思って頂いて構いません。

 

1.遺産分割調停の流れ

遺産分割調停は、一人の裁判官と民間から選任される二人以上の調停委員から構成される調停委員会が、中立的な立場でそれぞれの相続人の主張を聞き、合意が形成されるように働きかけを行います。遺産分割調停の流れはだいたい下記のとおりとなります。

⑴ 相続人の範囲を確定する。
⑵ 相続分を確定する。
⑶ 遺産の範囲を確定する。
⑷ 遺産を評価する。
⑸ 特別受益者と特別受益の額を確定する。
⑹ 寄与相続分と寄与分を確定する。
⑺ 特別受益及び寄与分を踏まえて、各相続人の相続開始時の具体的な相続分を算出する。
⑻ 具体的相続分を遺産分割時における遺産評価額と掛け算を行い、各相続人の遺産分割取得分額を算出する。
⑼ 遺産分割方法を決定する。

つまり、相続人と遺産を確定、遺産を金銭に評価して、相続分を修正する事実(寄与分、特別受益)を確認、各相続人に対して最終的な相続分を確定し、遺産分割を行う、と言う流れです。上記⑴~⑼が遺産分割に直接関連する項目となります。

ざっとみると非常にシンプルなのですが、実はこれ以外の事、つまり本来は遺産分割の問題ではない事についても、調停の中で話し合いが行われる場合があります。実はこれが、遺産分割調停が長期化する原因のひとつなのです。

 

2.遺産分割の付随問題

遺産分割の付随問題とは、遺産分割とは直接関係がない、付随した法律問題の事です。具体的には下記のものがこれに当てはまります。

⑴ 使途不明金に関する問題。
⑵ 葬儀費用ないし遺産管理費用の清算の問題。
⑶ 遺産収益(相続開始後の賃料、配当金等)の分配の問題。
⑷ 相続債務の整理・分担の問題。
⑸ 相続人固有の共有持分の問題。
⑹ 遺言の執行をめぐる問題。
⑺ 同族会社の経営権をめぐる問題。
⑻ 老親の扶養・介護をめぐる問題。
⑼ 遺産土地の境界・通行をめぐる問題。
⑽ 金銭賃借に関する問題。
⑾ 祭祀承継の問題。

「相続人の○○が親の金を使い込んだ!」「相続人の○○はいい年して働いておらず、親から必要以上の扶養を受けた!」等、当事者である相続人にとってみれば、これらは非常に重要な問題なのかも知れません。しかし、実はこれらは遺産分割とは直接関係が無い事なのです。その為、この付随問題について相続人間で合意が調わなければ、民事訴訟等、遺産分割調停とは別の手続きで解決を図る必要があります。

 

3.遺産分割調停の中で争われる事が多い項目

遺産分割調停は裁判所を利用して、相続人間で様々な事について話し合いが行われるのですが、その中で特に相続人間で争われるのは下記の2点です。

① 遺産の範囲

被相続人名義の遺産が、実は相続人固有の財産であると主張される事があります。例えば、ある銀行の被相続人名義の預金が、実は特定の相続人の為に開設された口座であり、その預金は実質その特定の相続人のものである、と言った主張です。遺産の範囲が変わってくれば、当然ながら各相続人が相続する遺産の額も変わってきます。その為、特に争われる部分の一つとなっています。

主張方法は民事訴訟と同様、特定の遺産が被相続人の財産ではない事を主張する相続人が、それを証明する責任があります。

② 寄与分・特別受益の主張

寄与分とは共同相続人の中に、被相続人の財産の維持または増加について「特別な寄与(貢献)」をした者がいる場合に、その寄与分を金銭に換算して、その金銭に換算した寄与分を法定相続分に上乗せする事を認めて、共同相続人間の公平性を図る制度の事です。

特別受益は寄与分とは逆に、被相続人から遺産の前渡しと見られるような贈与を受けた相続人について、遺産分割の場でその相続分を減らす事により、結果として共同相続人間の公平性を図る制度の事です。

寄与分・特別受益共に特定の相続人の相続分を修正する事になり、他の相続人の相続分にも大きな影響が出ますので、その主張が激しくなります。遺産の範囲と同様、客観的な証拠をもとに主張がなされ、その問題を解決するのに多くの時間を費やす事も良くあります。

その他、遺言の無効性、既に行われた遺産分割協議の無効性が争われる事があります。

 

4.まとめ

相続人間で協議が調わない為に利用されるのが遺産分割調停です。その為、調停で話し合うメインの事柄が「協議が調わないそもそもの理由」に焦点が当てられ、話し合いが行われる事になります。その話し合いには民事訴訟と同様に証拠の存在が重要になりますので、遺産分割調停を有利に進められたい場合は、まずは証拠の収集に力を注ぐ事をお勧めします。

当事務所では遺産分割調停のご相談を積極的に承っております。ご自分で遺産分割調停を行いたい方、色々と理由があって弁護士にお願いしたいと思っているが、なかなか良い人がいない等、お気軽にご相談下さい。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

合格率2~3%台の司法書士試験を、4年間の独学を経て合格。

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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