弁護士が行う相続の業務を分かりやすく解説します

相続一般

こんにちは。司法書士の甲斐です。

今回のお話しは、以前お話致しました「行政書士が行う相続の手続きを分かりやすく解説します」の弁護士バージョンのお話です。

行政書士が行う相続の手続きを分かりやすく解説します
相続のご相談を承っておりますと、高確率で「司法書士と行政書士って何がどう違うのですか?」と質問される事があります。また、酷い(?)場合は「行政書士の資格を取って、勉強とっても大変ではなかったですか?(司法書士と行政書士を完全に混同してい...

弁護士は法律に関する事をオールマイティに取り扱う事が出来ます。しかし、「オールマイティ」と言っても、具体的にどんな事を行うのかは、一般の方にとってみれば中々イメージが難しいと思います。

そこで今回は、弁護士が行う相続の業務を分かりやすく解説していきたいと思います。

1.そもそも弁護士の業務とは?

弁護士の業務を一応、条文で見ておきましょう。

(弁護士の職務)
弁護士法第三条
弁護士は、当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱によつて、訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務を行うことを職務とする。

非常に硬く、分かりにくい条文ですが、分かりやすく言えば、弁護士の仕事は依頼者の代理人として法律上の紛争を解決したり、法律上の紛争の相談を行ったり、その他、弁護士が依頼者から依頼を受け、事件の解決を図るために行う様々な業務を行います。

このように、弁護士が行う事が出来る業務は非常に幅広く、当然ながら相続の分野もカバーされています。

2.弁護士が行う相続業務の具体的な内容

① 遺言の原案作成

弁護士は司法書士、行政書士と同様に依頼者のお話をお伺いし、遺言の原案を作成する事が出来ます。

遺言作成に特化した弁護士(司法書士、行政書士もそうですが)は、単純に依頼者の希望をお伺いして遺言書の原案を作成するだけではなく、潜在的な法的トラブルを見抜き、もめる相続を未然に防ぐ遺言の原案を作成する事が出来ます。

② 遺言執行者への就任

弁護士は上記の遺言の原案を作成した際、そのまま遺言執行者となるケースが多く、実際に遺言者が亡くなった時に遺言執行者として、遺言の内容を実現する為の手続きを行います。

遺言を作成する=もめる相続を未然に防ぐと言う目的の為、遺言の内容を法律上適切に実現する必要があります。その為、遺言の原案の作成に関わった専門家がそのまま遺言執行者を行う事が多いのです。

なお、遺言があっても相続トラブルに発展する事もあります。その場合、遺言執行者が法律的に何か解決してくれるかと言いますと、実はそのような事はありません。

相続において、相続人間の法的な紛争に発展した場合、遺言執行者はどの相続人の味方になる事は出来ません。その為、遺言執行者は基本的には紛争が解決するまではその業務をストップさせます。

以上、弁護士の遺言執行者がついているからと言って、何かトラブルがあった場合で弁護士にお願いしたい時は、遺言執行者ではなく、別の弁護士に依頼する必要がありますのでご注意下さい。

③ 遺産分割協議における相続人の代理人

おそらく、この分野が相続業務における弁護士のメイン業務となると思います。

相続人間で遺産分割協議がまとまらず法律上の紛争が生じている場合、相続人を代理して、その法律上の紛争を解決する事になります。

つまり、依頼人である相続人を代理して、相続人の利益を最優先した遺産分割協議(依頼人の相続分が増えるような法律上の主張)を行います。

例えば、依頼人の寄与分の算出や他の相続人の特別受益を主張したり、遺産分割において依頼人の利益になる活動を行います。

また任意での遺産分割協議は勿論、裁判所を利用する手続きである遺産分割調停や審判も代理する事が可能です。

④ その他の相続手続き

その他の相続手続き、例えば戸籍謄本等を入手して相続人を特定したり、遺産の名義変更、相続放棄等も行います。

3.まとめ

弁護士の相続業務は相続手続きと言うより(勿論それも出来ますが)、相続人(依頼人)の代理人となり、依頼人の相続分が法律上正当となるような交渉を他の相続人と行うのが本質になると思います。

この交渉は、他の士業(司法書士、行政書士)は行う事は出来ません。その為、ご自分の相続分に不満があって、とにかく他の相続人と交渉したいと思われた場合は、弁護士に依頼すると良いでしょう。

なお、司法書士が行う相続手続きは下記のページで解説しています。

司法書士が行う相続手続きの具体的内容
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文責:この記事を書いた専門家
司法書士 甲斐智也

◆司法書士で元俳優。某球団マスコットの中の経験あり。
◆2級FP技能士・心理カウンセラーの資格もあり「もめない相続」を目指す。
◆「相続対策は法律以外にも、老後資金や感情も考慮する必要がある!」がポリシー。
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