相続で投資用不動産と担保付不動産の評価はどうすれば良いのか?

こんにちは。横浜のもめない相続の専門家、司法書士/上級心理カウンセラーの甲斐です。

遺産分割協議を行う上でポイントの一つになるのが、「相続財産をどのように評価するのか?」と言う点です。

特に不動産は複数の評価の方法があり、どの評価を採用するかは非常に頭を悩ます方もいらっしゃるはずです。

さらに、不動産特有の問題として、アパート等の投資用物件や投資用物件以外で抵当権等の担保が付いた不動産の存在があります。

投資用物件の場合、今後も利益をもたらしてくれる可能性が有るありがたい存在ですし、逆に担保付の不動産は場合によっては相続した不動産を失う事になるかもしれません。

その為、この二つの不動産について、通常の不動産のような評価の方法でも良いのか?不公平になるのではないか?

そのような疑問が出てきませんか?

今回はその、投資用物件と担保付不動産の評価についてのお話です。

 

1.遺産分割協議の評価=相続税評価ではない

まず考え方をガラッと変えて頂きたいのですが、遺産分割協議で利用する相続財産の評価は、相続税を申告する為に利用する評価方法を採用しなくてはいけないと言う訳ではありません。

相続人全員が合意すれば、どのような評価方法を行っても良いのです。

相続税の評価方法が分かりやすいので良く利用されているだけであって、絶対にその方法にしなくてはいけない訳ではありません。

もし相続税の評価方法を行った場合、投資用物件も担保付不動産も通常の不動産の評価方法になります。

その為、遺産分割協議で利用するには不公平かもしれませんね。

 

2.収益物件の評価方法

(※下記はあくまで考え方の一つです。絶対にこの通りに行う必要はありません。)

●あくまで通常の不動産として評価する
⇒不動産である事は代わりがないので、あくまで評価もそのままで行うと言う考え方です。

●建物の耐用年数から考えて、将来発生する可能性がある家賃収入から必要経費を引いた金額を評価にプラスする。
⇒投資用物件の場合、賃料が発生しますのでそれを考慮すると言う考え方です。

●不動産の利回りを評価に考慮する。
⇒不動産投資における「利回り」には2つの計算方法があります。

・「(年間家賃収入÷物件購入価格)×100」で算出さる「表面利回り」

・「((年間家賃収入-年間支出)÷物件購入価格)×100」で算出さる「実質利回り」

のどちらかの指標を利用して評価をする方法です。

このような考え方を用いて投資用物件の評価を行い、相続人間で話し合いを行えば良いでしょう。

 

3.抵当権等、担保付き不動産の評価方法(投資用物件以外)

(※下記はあくまで考え方の一つです。絶対にこの通りに行う必要はありません。)

投資用物件以外で抵当権等の担保付きの不動産の場合、相続税の評価は抵当権等が付いている事は考慮されませんが、遺産分割協議では相続人間全員の合意の上、抵当権が設定されている事を考慮する事が出来ます。

これは、抵当権の債務者が被相続人か、それ以外の人物かによって考え方を変える必要があります。

① 債務者が被相続人の場合

この場合、基本的には抵当権等が設定されている事を考慮して、不動産の評価を低くする事は合理的ではないでしょう。

なぜなら、被相続人の債務は相続人に相続される事は当然であり、抵当権が設定されているからと言って不動産の評価を低くするのは話の筋としては、他の相続人も納得しないでしょう。

不動産を相続する人と、(債権者の了承を得て)抵当権の債務を相続する人が別であれば話は別ですが、そうでは無い限り、債務者が被相続人の場合、不動産の評価を低くする事は難しいでしょう。

(なお、相続人全員が評価を低くする事に合意していれば問題はありません。)

② 債務者が被相続人以外の場合

この場合が非常に難しいと思います。

抵当権の債務は相続財産ではない為、当然相続されません。

つまり、債務者が自分の借金を支払わない場合、不動産を相続した相続人は自分の責任とは関係がない所で、不動産を手放さなくてはいけない可能性が出てくるのです。

「被相続人が自分以外の第三者の債務を保証した地位を当然に相続する」と言う考え方をすれば、第三者が債務を支払い不能になる事も受け入れる必要があるでしょう。

しかし、第三者の債務を保証したのはあくまで被相続人です。

相続人が全く関係がないにも関わらず、第三者の債務を保証するのは理不尽なのでは?と言う考え方も出来ます。

その為、債務者の支払い能力を考慮したり、債務残高を考慮し不動産の評価を行うのも一つの方法です。

 

4.遺産分割調停を行った場合の評価方法

遺産分割調停を行い、当事者の合意により不動産の評価額を定めることができない場合には、裁判所が鑑定人を選任し、鑑定人によって不動産の評価が行われる事になります。

不動産の評価は不動産鑑定士が行うのですが、その費用に数十万円~数百万円かかる事に注意が必要です。

① 投資用物件の鑑定

投資用物件の鑑定の場合、単純に将来発生されるであろう賃料等を計算して不動産価格に加算するわけではありません。

純収益(将来の賃貸収入から必要所経費を控除、さらに空室損失や貸倒損失及び資本的支出等を考慮して算出される純収益)を予測し、収益還元法と言う計算方法で評価を出す事になるようです。

② 抵当権等が設定されている物件の場合

法律で抵当権付きの不動産の評価方法が決まっているわけではないので、様々な学問上の説があるのが現状です。

債務者が被相続人の場合

この場合は抵当権が設定されている事について、特に評価に影響を及ぼす事はありません。

理由は上記でご説明した通り、被相続人の債務は相続人に相続される事は当然であり、抵当権が設定されているからと言って不動産の評価を低くするのは話の筋としてはおかしいからです。

債務者が被相続人以外の場合

抵当権が設定されている事を考慮せず、通常通り不動産の評価を行うべきとする説がありますが、一方で、債務者の経済状況を考慮すべきとする説があります。

つまり、債務者の経済状況に何ら問題がなく、将来的に完済が十分に見込めるのであれば通常の不動産の評価とする。

債務者の経済状況に問題があり、今にも破産しそうな状況の場合は、残っている債務の額を考慮して不動産の評価をすると言う考え方です。

抵当権等が設定された不動産の評価方法については最高裁判所の判例もなく明確な答えはありません。

その為、細かい事情を考慮していくしかないと思います。

 

5.まとめ

遺産分割における不動産の評価については弁護士等の法律家や裁判所は専門外であり、あくまで不動産鑑定士の職務の範囲となります。

その為、相続人間で話がまとまらないようであれば不動産鑑定士に評価の依頼を行う事で解決します。

しかしそれには時間も費用もかかりますので、相続人間で良く話し合い、答えが無い問題について答えを出す必要があります。

 

 

【このブログの著者】

甲斐 智也(かい ともや)
司法書士/上級心理カウンセラー

 

心理カウンセリングの技術を応用して、もめない相続の実現を目指す専門家。

不動産や銀行預金等の相続手続きの他、心理カウンセラーが行う心理療法であり心理学のひとつ、「交流分析」をベースにして、法律と感情面の双方から、相続人間のコミュニケーションが円滑になる為の多角的なサポートを行っている。

元俳優。アクションが得意でTVドラマ出演やヒーローショーの経験もあり。

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